Winny開発の東大助手を逮捕 著作権法違反幇助容疑
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ファイル交換ソフトの開発者逮捕の記者会見をする阿波拓洋・京都府警生活安全企画課長(左)と白石喜一・ハイテク犯罪対策室長=10日午前10時48分、京都市上京区で
インターネットを通じ映画や音楽などのデータをやりとりするファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発し、利用者が違法コピーすることを可能にしたとして、京都府警は10日、東大大学院助手、金子勇容疑者(33)=東京都文京区根津2丁目=を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の幇助(ほうじょ)容疑で逮捕した。プログラムの開発者が著作権法違反の幇助容疑に問われるのは全国初。
府警ハイテク犯罪対策室などの調べでは、金子容疑者は開発したWinnyを02年5月上旬からホームページで無料配布。群馬県高崎市の風俗店従業員(41)=同法違反罪で公判中=らが昨年9月にこのソフトを使って米映画「ビューティフル・マインド」などの映画やゲームソフトを送信できるようにし、著作権を侵害するのを手助けした疑い。金子容疑者は昨年11月、高崎市の従業員らによる著作権法違反事件が摘発された際、自宅の捜索を受け、これまで任意の調べを受けていた。
Winnyは、京都府警が01年11月に別のファイル交換ソフト「WinMX」を使った著作権法違反事件を摘発したのをきっかけに開発され、百数十万人が利用しているとされる。
金子容疑者は大学院情報理工学系研究科所属で、情報処理工学が専門。02年1月以来、同研究科で大学院生のソフトウエア開発の指導にあたっている。調べに対し、「結果的に自分の行為が法律にぶつかってしまうので逮捕されても仕方ない」と供述しているという。
高速で通信するブロードバンド化が進むなか、ファイル交換ソフトによる著作権侵害は深刻化している。府警は、金子容疑者がWinnyを開発し、計236回の改良を繰り返していたことから、著作権法侵害を蔓延(まんえん)させようとの意図があったとして、立件に踏み切った。国際的にも著作権侵害をめぐるプログラム開発者の責任についての司法判断は分かれており、今後、議論を呼びそうだ。
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〈Winny(ウィニー)〉 Winnyをインストールしているパソコン利用者の間でパソコン内の情報を自由に検索しあい、ネットワークを通じて音楽や映像など様々な情報を交換する仕組み。特定のサーバーを経由せず、データが暗号化されるのが特徴。自分の欲しい情報があれば複製でき、複製した情報をさらに別の人が複製することも可能なため、人気ソフトはねずみ算的に広がる。音楽や映画などの著作権を侵害する恐れがあるほか、Winny利用者が感染するウイルスによって京都府警などの捜査関連書類が流出するなどしている。
(05/10 12:09)
ファイル交換ソフトの開発者逮捕の記者会見をする阿波拓洋・京都府警生活安全企画課長(左)と白石喜一・ハイテク犯罪対策室長=10日午前10時48分、京都市上京区で