概要
どこにでもあるような街のどこにでもいそうな少年、「プンプン」の人生の波乱を描いた作品。
この作品の大きな特徴に、主人公である「プンプン」やその家族、親戚のみ“落書きのようなヒヨコ”で描かれており、その名前に加え、周りの人物や情景などの高い描写力からは浮いた存在となっている。加えて、作品内でコラージュ的な表現を用いたり、一部の人物に話の進行とは無関係な奇行を描いたりと、実験的なシュルレアリスム表現がみられる(これらは作者自身、つげ義春の『ねじ式』が漫画を志すきっかけとなったことから、その影響が大きいと思われる)。
しかしながら、作家の伊坂幸太郎が単行本の帯に「前衛でありつつ王道を走り抜ける」と語っているように、少年期における独特の叙情表現等に定評があるなど、シュルレアリスム的なアート性と文学的な娯楽性を同時に持った画期的作品だと評価されている。