Track 01 ―プロローグ―
ある朝 グレゴール・ザムザが何か胸騒ぎのする夢から醒めるとベッドの中の自分が1匹の大きな毒虫に変わってしまったのに気がついた。
カイン:誰が…来る……!
産まれる ついに産まれる 災いの子供が
カインの母さん:いやあああ―――っ 助けて!産みたくない!神よ お許しを…!
カイン:これは…夢…
カインの母さん:お前さえ…
カイン:お母様――!!
カインの母さん:お前さえ産まれて来なければ――!!
カイン:これは…悪い夢だ…
カインの父さん:忘れるな カイン…お前を幸せになぞさせん…!!
カイン:お父様…!
カインの父さん:お前は一生誰にも愛されず孤独のまま死ぬんだ…!カイン…!それは人類最初の身内殺しの名だ!!
カイン:これは…夢だ…悪い夢
リフ:カイン様、こっちです!!あれは人の魂を混沌にひきずり込み喰らう夢魔の群れ つかまってはなりません!
カイン:誰だ!?
リフ:つかまってはなりません こっちです!
カイン:これは…夢か…?
産みたくない!お前さえ産まれて来なければ――!!お前は一生誰にも愛されず孤独のまま死ぬんだ…!
カイン:これは…夢だ!
リフ:大丈夫ですか?大分うなされておいてでしたが。
カイン:リフ…
リフ:具合は…?
カイン:心配ない。妙な夢を見ただけだ。マリーウェザーは…?
リフ:それがまたデッキの方に
カイン:俺の体のためとはいえ、田舎は静養に来るのが不満そうだからなあ。仕方ない。ご機嫌伺いに行くか。マリーウェザー!
マリーウェザー:カインお兄様!
カイン:退屈か?ロンドンで留守番していてよかったかなあ。
マリーウェザー:だって、一人で屋敷にいてもつまらないもの このところロンドンも妙に平和で血生臭い事件もないし
カイン:だく!
マリーウェザー:だったら、お兄様達と一緒のほうがずっといいもん
カイン:嬉しいねえ。そういうことが もっと面白い話を教えてあげようか
マリーウェザー:ナニ?
カイン:これから行く郊外には昔から吸血鬼伝説ある城があるそうだよ。
マリーウェザー:ホント?
カイン:うわさだけよね。
マリーウェザー:素敵!そのお城絶対に連れててね
カイン:だく、小さいのに、このてんの話だってん喜ぶってのは誰に似たんだか。それにしても、何故だ 今度の旅は妙な胸騒ぎがする 水に落としたインクのように広がる不安が