凑热闹~
Xenosaga EPISODE1 Der Wille zur Macht
ゼノサーガ エピソード1 力への意思
“【ゼノサーガ】バックストーリー”
“プロローグ・ゾハル”
“KOS-MOS覚醒”
“百式観測レアリエン・モモ”
“Jr.”
“アンドリューの最期”
“向き合えない過去”
“ネピリムの歌声”
“天の車”
“【ゼノサーガ】バックストーリー”
数千年後の未来世界、人類はある原因によって地球を放棄し、枢機院の統治の下に空間歪曲航行法を利用して各星々を「U.M.N」の技術および最新のテラフォーム技術(注釈:行星開発技術)を礎とし、50万もの惑星で構成される国家「星団連邦」を組織した。
この時代の中、人類発祥の地「地球」は人類に完全に忘れ去られてしまう。星団連邦と宇宙船と戦闘端末を操るグノーシス(注釈:靈魅)は人類の居住区で激戦を繰り広げていた。グノーシスは結局の所、人類以外の生命体なのか、エイリアン(注釈:外星人)なのか・・・それは誰にもわからないであろう。 ただ一つ言える事、それはグノーシスが人類に対して激しい敵対行動を示し、人類の存在を抹消しようとしていると言う事であろう。
一方、ヴェクタ―という巨大企業が登場した。この星団連邦内最大の企業であるヴェクターは「U.M.N」系統を構築し、軍事と通信ネットワーク、とてつもなく広大な資源を掌握し、星団連邦に対し絶大な影響力を抱くようになった。ヴィルヘルム(注釈:維魯海姆)を総帥とするヴェクター(注釈:向量)は人類に仕えるレアリエン(注釈:人造人)を作り出し、その上、グノーシスに対抗するために人型端末兵器を中心とする兵器体系「A.G.W.S.」と女性型戦闘ロボット「KOS-MOS」を開発した。
物語の始まりは20××年代、アフリカのケニア・トゥルカナ湖のある遺跡にて後に「ゾハル(注釈:佐哈爾)」と呼ばれる謎の物体を掘り出した事から始まる。この物体は検査の結果、宇宙創生時よりすでに存在する神秘的な物体だったという。
女性型戦闘ロボット「KOS-MOS」の開発主任シオン・ウヅキ(注釈:蓆欧・卯月)は兵器の実験、及び調査任務を行うヴェクターの最新式宇宙船「ヴォークリンデ(注釈:沃克琳徳)」がある特定の地点を過ぎた時、ゾハルの争奪戦に巻き込まれてしまう!グノーシスが宇宙船の前に突如出現し、強烈な攻撃を繰り広げた。船員は皆、侵入したグノーシスを排除する為、各種武器とA.G.W.S.を以って抵抗するが、向かい合うのは実体を持たない存在であり、船員達はみな殺害されてしまう!ここに劣勢な状況の中、シオン・ウヅキはこの運命にどう臨むのか・・・?
目次へ戻る
“プロローグ・ゾハル”
時間:20××年 場所:ケニア・トゥルカナ湖
考古学者マスダは人々を従えてこの古き聖地で古代遺跡を掘っていた。
マスダ「明日から始めればいいだろう。ここの土地は固いからな。掘り出す時は気をつけてくれ。
黒人の人「OK。
帽子の男「ミスターマスダ!
マスダ「どうした?何か見つけたのか?
帽子の男「その通りさ。ここの湖に沿って下ると文献と一致した所に、やはり尋常じゃない物があったんだ!
マスダ「きっとアレだ!OK。今すぐ行こう!
帽子の男「今回発見した物は他の物と違う。
マスダ「私が予想したのと同じだ!
帽子の男「ここにある。
マスダ「うぅむ・・・。
マスダはこのデザインの物体を見た後、以前入手した金属プレートを思い出した。
マスダ「きっとこれに違いない。
マスダが金属プレートをはめると、この装置は意外な事にも光を放ち、引き続き、地震が発生した。そして、もともと波の無いトゥルカナ湖から突如、謎の建築物が出現した。
黒人の人「おお、みんなあそこを見ろ!
マスダ「わぁぁおぉ。
建築物から奇妙な光が射し、金色の金属板がはっきりと現れた。その上、それは天に向かい、一つの光を発射した・・・。すなわちこれが、現人類と“ゾハル”の初めての接触だった。
目次へ戻る
“KOS-MOS覚醒”
4000年後・・・・・・ゲートジャンプ(注釈:傅送跳躍)技術を掌握した人類はすでに宇宙を自らの裏庭としていた。だが、人類はその宇宙征服の過程で、恐るべき天敵グノーシスと邂逅してしまう。人類は全ての可能性をもってしてグノーシスと対峙した。そうした中でハイテクノロジーを掌握するヴェクターは長年来、レアリエンとサイボーグ(注釈:合成人)の研究を進めてきた。目下の所、対グノーシス専用のヒト型戦闘用ロボットを研究開発しており、その最新の成果こそが「KOS-MOS」である。シオン・ウヅキは現在、KOS-MOSの研究チームを指揮していた。
Index
1.KOS-MOS起動実験 2.私は対グノーシス専用ヒト型掃討兵器・・・ 3.ブリッジ出頭要請
4.ゾハル 5.レアリエン 6.寝るだけの兵器に存在意義は無い!
7.失態 8.超古代の風習を復活させないでくれる? 9.KOS-MOS警戒態勢レベル4!
10.グノーシス襲来 11.KOS-MOS完全起動 12.さよなら、お気をつけて!
13.ヴォークリンデの末路 14.私の証明を為【な】せ 15.存在意義
16.やっぱ・・・・・・私は死ぬんだ・・・・・・ 17.私は人間ではありません、ただの兵器です
1.KOS-MOS起動実験
ゾハル消失から数時間が経った後、星団連邦はその行方を見つけ出した。ゾハル回収の為、星団連邦は特遺艦隊を派遣、最新の装備が艦隊に与えられただけでなく、シオン・ウヅキの研究チームもKOS-MOSを引き連れ艦隊と共に行動をしていた。
艦隊が次第にゾハルへ接近をした頃、シオンの研究チームはKOS-MOSの起動実験を始めていた。
(VX-2000のシートに着くシオン)
シオン
「ただいまより起動実験を行います。インターコネクション(注釈:接続作業)を始めてください。
アレン
「了解。インターコネクション開始、ダミープロトコル(注釈:擬真通信協定)、起動します。
ジョンベル
「A-LAINプロトコル(注釈:A線路通信協定)確立
トガシ(注釈:托加西)
「ケージパーテイション(注釈:擬真空間開放)、開放まで57,56,55・・・・・・
同時刻、特遺艦隊の兵がゾハルの回収を進めていた。しかし、ある兵士が幻想に惑わされ、ゾハルへ接触した瞬間、同僚が見ている前で姿を消した・・・。
ベッセル
「各モニタリング状況、良好
トガシ
「3、2、1・・・・・・ケージパーテイション。KOS-MOS成形作業開始。
シオン
「成形作業完成、ペンフィールドマッピング(注釈:脳部連線作業)を開始します。
ジョンベル
「エンセフェロン構築始めます。
カロルハジィ
「接続率,76,77・・・・・・
ジョンベル
「エンセフェロン構築完了。
アレン
「側頭葉にノイズ出現。
シオン
「状況は?
アレン
「左側頭葉、第818領域のシナプス郡に軽い興奮状態があります。許容範囲でありますが・・・中止しますか?
シオン
「いいえ,続けて。マニュアル通りに私と彼女のダイレクトアプローチ(注釈:直接意識傅送)を行います。調整作業をお願いね。
アレン
「了解,接続システムNATARAJA起動。
同時刻,特遺艦隊はゾハル回収に成功した・・・
メインシステム
「パスワード確認、システムNATARAJA起動。
システムNATARAJA起動後,シオンの脳はヴァーチャル空間との連結に成功する。
シオン
「アレン君、視覚部の接続状態が良くないみたいだわ。
アレン
「うん・・・お、視覚部分のK12回路の接触が良くないですね。あと、V4区域の相互連結に少し遅延がありますね。少し,お待ちください。すぐに調整しますよ。どうです主任?
シオン
「OK.良いわよ,続けて
アレン
「了解。では、ただいまよりKOS-MOSの主客分離作業を始めます。
Indexへ戻る
2.私は対グノーシス専用ヒト型掃討兵器・・・
シオン
「おはよう、KOS-MOS。調子はいかが?
KOS-MOS
「おはようございます、シオン。全てが非常に良好です。
シオン
「じゃぁ、自己紹介をしてくれる?
KOS-MOS
「私は対グノーシス専用ヒト型掃討兵器、シリアルNo.000000001、開発名称KP-X、略称KOS-MOS。現在は模擬戦用筐体の為、出力の限界を22%としており、予定兵装は・・・
シオン
「いいわ、良くできました。ここまででいいわ。
KOS-MOS
「はい。
シオン
「あなたを起こすことは滅多にないことだけど、今回も起動実験なの。検査が終わったらまたあなたに眠ってもらわないといけないの。
KOS-MOS
「そうですか。
シオン
「悲しいって感じる?
KOS-MOS
「私の感情プログラムは造物主の利便を考えて使用されます。目下の場合、あなたはヴェクター第一開発局、KOS-MOSの責任開発の主幹技師であるあなたとの良好な関係を保つ必要があります。私のプログラムが悲しいと表現する必要を感じた時こそ、私はこうした情緒を表します。
シオン
「あらあら・・・そうだよね。それは私が一番知っている筈なことだよね。
KOS-MOS
「あなたが理解していることは本当にいいことです。
シオン
「けど、KOS-MOS、今の私は複雑な気持ちなの。あなたを呼び起こすことは嬉しいことなのに、あなたはまた眠らなくてはならないから、寂しさを感じるの。けれど、あなたが次に目を覚ます時は・・・もしかしたら沢山の血が河と化す場面かもしれないの。だから、心の底からはそんな日が来ることを希望していないの。
KOS-MOS
「・・・・・・
シオン
「わかる?
KOS-MOS
「難解な人間の思考、特に論理の無い推論は私には理解できません。
シオン
「うん・・・あなたにわかる日が来ることを望むわ。
KOS-MOS
「努力します。
シオン
「じゃぁ、始めましょうかKOS-MOS。アレン君,前回の続き、手順277番から始めて。
アレン
「了解,エンセフェロンの中に遠隔操作のターゲットを設置しました。彼らの行動は乱数で決定、そのうえ、待ち伏せモデルに設定。主任,任務を始める前に身体を温めましょうよ。
シオン
「うん、いいわ。KOS-MOS、あなたも聞いたわね?
KOS-MOS
「了解。
バトルチュートリアルが始まり,終了する。
ジョンベル
「手順300まですでにクリア。
アレン
「主任,データの送達は全て正常です。A-LAINのコントロール状態もいいです。
シオン
「そうね。反応値がいい感じなはずだわ。
アレン
「この通りに続ければこの数日間で良い結果が得られますよ。
シオン
「そうね・・・。
アレン
「主任?
シオン
「ねぇ、アレン君、399番以前の手順を省略,400番のプログラムから始めてみましょう。
アレン
「よ、400から始めるって・・・主任、これは・・・・・・
シオン
「今回はきっと成功すると思うのよ。
アレン
「これは・・・しかし・・・先月のことは忘れていませんよね?あの時,あと10秒遅れていたらあなたは帰れなかった。少なくとも客体モデルから始めましょうよ。
シオン
「けど、これじゃ正確なデータはとれないわ。大丈夫、何かの時は私が逃げ出す方法を考えるわ。それに、あなたはA-LAINの最適化、あなたも検査したいんでしょ?
アレン
「その通りですが・・・
シオン
「じゃぁ、そういうことで始めましょうか。
アレン
「何かあっても知りませんよ。もしもアクシデントがあったらプログラムの強制中止をします。ひねくれ過ぎないでくださいよ。
シオン
「了解,了解。
アレン
「あと、マニュアルにないことはしない。
シオン
「わかってるわよ。
アレン
「まったく。少しも気にかけないで。いつも僕を驚かせ、何年も寿命を縮めさせてくれる。あなたにもこの味を味わって欲しいですよ。
エヴァレット
「ウヅキ主任のことだけなら、副主任は特に関心を持つ。もう何年も余命は残っていないでしょ?
アレン
「うるさい!余計な話は控えて400番台プログラムの準備はいいだろうな?
ジョンベル
「準備完了。いつでも始められます。
アレン
「なら、プログラム起動。各々は細かく見て、何か異常なことがあったら,すぐに報告してくれ。何か異常事態が発生したらすぐに強制中止するからな。
エンセフェロンでの行動後,トレームSPX撃破。
アレン
「状況はどうだ?
ジョンベル
「何の以上もありません。とても安定しています。これなら先月の恥辱をそそげますよ。
アレン
「本当にこんな順調ならいいものだな。
ベッセル
「KOS-MOS、任務ポイントに到着,431番プログラムを実行します。
トガシ
「遠隔操作のターゲット、G型に転換を始めます。
トレームGX戦前
アレン
「やっと始まった・・・。
トレームGX登場後,KOS-MOSに異常な反応が。メインコントールシステムも警報を発動。
アレン
「どうした?
ジョンベル
「KOS-MOSが新しいネットワークの構成を始めました。以前にもこんな反応はなかったですよ。これは本当に凄い。これまではこんなに早く成長するネットワークは見たことがない。副主任、見てください。エンセフェロンの一部に変化が始まっています。
アレン
「これは・・・
シオン
「アレン君,これからターゲットとの交戦を始めます。記録,お願いね。
アレン
「それはやり過ぎですよ!主任、あなたは主体<注釈:KOS-MOSの主体>知覚を以ってして応戦しているのですよ,こんな不安定な状況での戦闘は危なすぎる!
シオン
「大丈夫。まだやれるわ。
アレン
「何が大丈夫なんです?主任!」
トレームGX撃破後
シオン
「これなら問題無いわね。これからターゲットをリアルモードへ。ヒルベルト(注釈:虚数目標)を試します。
アレン
「主任!マニュアルにないプログラムを始めないでくださいよ!
シオン
「KOS-MOS、ヒルベルトエフェクト(注釈:虚数干擾模式)発動
KOS-MOS
「了解,ヒルベルトエフェクト起動します。
KOS-MOSのヒルベルトエフェクト起動後,メインコントロールシステムに大きな警報が。
アレン
「これじゃ、酷いぞ!状況は?
ベッセル
「エンセフェロンは異常な状態に位置し,これでは壊れてしまう。いつでも崩壊可能です。
アレン
「本当か!?主任、どうします?主任!そこは危険すぎる、早く戻ってください!
シオン
「待って,もう少し待って!
アレン
「主任!
ベッセル
「辺緑系に神経インパルス発生、キンドリング(注釈:燃薪現象)です!
アレン
「すでに限界に達している!プログラムを強制終了しろ!主任を引き戻せ!
ベッセル
「了解!プログラム強制終了・・・命令が拒絶されました!ウヅキ主任が優先的な制御権を擁し,制御できません!
アレン
「何!
ジョンベル
「エンセフェロン崩壊まであと10秒、副主任!
アレン
「糞!
エンセフェロンが次第に崩壊すると同時に、シオンは強い光の中で以外にも一人のブロンドの髪をした子供の出現を見た・・・。不思議なのはシオンがまるでかつて御互いに知っていた感覚を感じたこと,奇妙さを感じなかったことである。この仮想世界が瓦解する刹那,アレンが生命の危険を顧みず、仮想世界に進入,シオンを引っ張り出す。
アレン
「主任・・・大丈夫・・・ですか?
シオン
「うん。ありがとう。ちょっとひねくれ過ぎちゃったかな?
アレン
「ええ・・・。
シオン
「アレン君・・・?
アレン
「こんなことは繰り返さないでくださいよ・・・本当に人を驚かすんだから・・・。
シオン
「ごめん、ごめん。けど、私達は良い記録を得られたはずでしょ?その上・・・
シオンはあのブロンドの髪をした少女を思い出した。しかし、この現象を理解しきれないシオンはこのことを自分の心の中にしまうことを決めた。
アレン
「何かあったのですか?
シオン
「いいえ、何でもないの。さて、データ解析を始めましょう。今日はここまでね。今日はそろそろ上から催促が私達に来る気がするわ。
ヴォークリンデ艦内放送
「全艦に通達,本艦はまもなく3分後にゲートアウト(注釈:傅送通道)します。万が一に備え,あらゆる人々は所定の位置に戻ってください。繰り返します,本艦は・・・
3.ブリッジ出頭要請
特遺艦隊がゲートアウトする頃、・・・ヴォークリンデのブリッジでは・・・
オペレーター3
「全艦隊ゲートアウト。
オペレーター1
「メインエンジン、サイレントモードへ。現宙域を離脱します。
オペレーター6
「現宙域離脱時間を計算、基準時間を22日1300とし、残り7時間16分30秒後になります。
オペレーター2
「U.M.N.まで残り7時間36分、これ以前の自宙域のゲートジャンプはできなくなります。
モリヤマ(注釈:森山)
「次で最後になるな
アンドリュー
「ええ。次のコラム(注釈:方陣)で最後のゲートジャンプとなります。あともう少しです。
オペレーター6
「ここまで来れば大丈夫ですよ。コラム区間での接触率はとても低いですし、ここには丁度沢山の小惑星があります。艦隊の隠れ場所にはもってこいですし、“奴等”には簡単には見付からないですよ。
アンドリュー
「ハン、単純だなぁ、小惑星に入り込んでもいささかの気休めにしかならぬぞ。
オペレーター6
「す、すいません
モリヤマ
「そんな激しくするな、アンドリュー中佐。何かあったのか?
アンドリュー
「いいえ、何でもございません・・・
オペレーター2
「あの物体を回収してからすでに10日が経過、皆あの頃から緊張していましたからね。その上、この期間は外界との通信ができません。中佐の御気持ち理解できます。
モリヤマ
「うむ。
オペレーター3
「艦長、もしも話せないのでしたら、それも構いませんが、今回の任務の本当の目的をご説明いただけませんか。星団連邦政府の指揮の下、惑星の消滅事件を調査及び調査隊の護衛。しかし、あの物体を回収してからはまるで空気が変わったと感じます。一体、あの物体はなんなのですか?
モリヤマ
「あれか・・・、私も調査隊の報告を受け取っていないのだ。ただ・・・、数日前に得た情報によると“奴等”はあの物体を狙っているらしい。当然、根拠はないがね。
オペレーター6
「聞く所によると、回収時に何人かが犠牲になったとか・・・。
モリヤマ
「それが本当であろうと、私達に知る権利はないのだよ。元々調査隊は他の指揮下あるのだよ。私達が受けた命令は目標宙域にもしも『回収物』が確かにある場合、全てに優先して考慮する様にとなっている。
オペレーター3
「最優先にする・・・それが指しているものは・・・
アンドリュー
「つまり、あの物体は私達の小さい命よりも重要だということだ。
モリヤマ
「彼女達を驚かせないでくれたまえ。話は戻るが今回の作戦は星団連邦にとって非常に重要なことだから、皆全てに於いて注意をしてくれ。
オペレーター2
「そうですね。丁度、この艦隊はその為の装備を全て刷新し、更には非常事態の為の切り札がありますからね。
モリヤマ
「お、そうだ、あの切り札はあれからどういう状況だ?
オペレーター2
「本日、A-7のデータを提出予定です。
モリヤマ
「A-7、あと一つで実働か、悪くないな。中尉、ウヅキ主任にデータの調整後、ブリッジに私を訪ねる様、伝えてくれ。それと、ついでに今回までのあらゆる報告結果も持ってこさせよう。
中尉
「了解しました。
オペレーター4
「彼らが言う切り札って、まさかあの戦闘用アンドロイドじゃないだろうなぁ。
オペレーター5
「その通りだぜ、知らなかったのか?
オペレーター4
「まさか。
オペレーター6
「聞く所によると、彼等の進捗【しんちょく】状態は予定より結構遅れているって。
オペレーター5
「仕方ないさ。2年前の起動実験では人命が失われたんだろ?だから、彼等も自然と比較的慎重になるのさ。
オペレーター4
「しかし、あのアンドロイドは本物の人間みたいだ。あれは自分でさえ歴史小説で読んだだけだぜ。
オペレーター5
「切り札って言うけど、あけすけに言うとまだ実験中のだしな。たとえ本当に事故が起きても、使い道を決められるのか決められないのかも分からないしな。実際の所、これはヴェクターがこの任務に関わらせるだけであり、これはあくまでも彼等の道楽に過ぎないだけだぜ。
オペレーター6
「たとえコマーシャルモデルであろうと、実際に配備されているかどうかで、その落差が大きいですからね。
アンドリュー
「いわゆる無知はすなわち幸せということか。
オペレーター6
「中佐!
アンドリュー
「お前らがやはり羨ましいってことさ。
アンドリューが何を言っているのかは読み手には分からない、ただ、アンドリュー自身がはっきりとこの艦隊がどんな惨劇を発生させるかをはっきりと分かっている。<注釈:この文は、ORを中国語に翻訳した人独自の注釈>
シオン
「了解しました。30分後に報告に参ります。
アレン
「こんなに早くあなたが報告に行かねばならないなんて。
シオン
「でしょ?私の予感は一向に正確でしょう?
ベッセル
「ウヅキ主任、これらは報告するデータです。他に何かいりますか?
シオン
「ありがとう。これだけでいいわ。あとは私に任せて。
新人
「主任、少しよろしいですか?
シオン
「どうしたの?
新人
「文はいつもKOS-MOSの実際の起動データを要求していますが、私達はいつも彼等に模擬実験データだけを渡しています。こんなのでいいのですか?
シオン
「う~ん、これは私の痛い所ね。けどね、私はKOS-MOSには継続的に同じ素敵な夢を見て欲しいのよ。
新人
「主任、主任は模擬実験のデータの為にあんなに懸命に頑張っておられますが、実際の起動となるとなぜ、こんなに慎重となるのでしょうか。私は早い所、KOS-MOSが実際に起動する様子を見たいと思います。少なくとも、フェーズ3まで起動して見ては?現状を見る限り、既に問題はないはずです。
アレン
「フェーズ3に行く以前に模擬戦筐体で実験を進めているのに、姫をわざと起こす必要はないよ。持って行って下さい。二局にKOS-MOSの装備要点。彼等を納得させるのに僅かばかりの助力となるでしょう。
シオン
「サンキュー<注釈:ORでは3Q>。心遣いに感謝するわ。
「じゃ、いってきまーす。
アレン
「いってらっしゃい。・・・さぁて、仕事、仕事!
シオンが出発した後、
トガシ
「副主任、見た感じ、とっても出来の良い賢夫人っぽかったですよ。
アレン
「お、お前、何でたらめ言っている?トガシ、賢夫人だぁ、どういう意味だ?さっさとデータを整理しろ!
トガシ
「やっています、やっています。いつもこんなに言ってるのに、自分の心意を表さないんだから。<注釈:心意を表すとは、恐らくはシオンに対してであると思われる>
アレン
「トガシ、さっきなんか言ったか?
トガシ
「何も言っていませーん、あなたの幻聴でーす。
アレン
「まったく・・・、ん?どうした?さっきのこと、まだ納得が行かないのか?
新人
「い、いいえ、し、しかし・・・。
アレン
「君の心情は良く分かる。だが、さっきの状況は君も見たろう?主任も慎重なんだ。その上・・・そうか、君は先月ここへ入ったばかりだったな。あのことを知らなくても君を責められないな・・・。
新人
「それは2年前の事件ですか?自分も聞いたことありますが、細かい点ははっきりとは・・・
アレン、シオンが忘れ物したことに気付く。
アレン
「これは・・・またか・・・。彼女はいつも・・・
トガシ
「良かったですね。彼女と二人っきりになる良い機会ですよ。ちゃんと順調に食事に誘うんですよ。
アレン
「渡しに行かなきゃ・・・
カロルハジィ
「ちゃんと彼女を誘わなきゃ。
アレン
「そんなんじゃないって言っているだろう!まったく・・・じゃ、ちょっと渡しに行って来る。
全員
「頑張って!
アレン
「まったく・・・皆適当に喋ってくちゃっれて・・・ぼ、僕だって・・・もしチャンスがあるのなら当然そう思うさ・・・。
Indexへ戻る
4.ゾハル
シオンが格納庫に入った時、兵士の悲鳴と少佐に鬼の如き叫びがすぐさま聞こえた。
少佐
「この阿呆がぁ!貴様もだ!お前もだ!聞け!あの事件の後から貴様等の心がここにあらずだと言うことは分かっている。しかし、今は何かを考えている時ではない!!考え事は俺にさせれば充分だ!いいか、良く聞け!後悔する暇があるのなら、己の力を捧げろ!<注釈:仕事に捧げろという意味と思われる>思考する時間があるのなら、手を動かせ!己の感覚から脳の存在を出すな!己をマシーンと化せ!不眠不休で働け!
シオン
「私達の所と比べたら、まるで天国と地獄だわ・・・。
シオンは2年前のことを思い出さずにはいられない。自身がまだ普通の社員であった頃のこと・・・
ケビン
「まだいたのかい?あまり無理をし過ぎると、自分の身体を壊すどころか、引き合わないぞ。
シオン
「あ、お疲れさまです。ちょっとこのデータを明日の朝までに完成させたいんです。ケビン先輩は何故、こんな遅くまでまだ寝ていないのですか?明日朝は早く起きないと。もし休まないと・・・。
ケビン
「はい、あげる。
シオン
「あ、ありがとうございます。
ケビン
「実は、あることが僕を悩ませるんだ。だから、寝付けないんだ。
シオン
「どんな悩みですか?
ケビン
「明日彼女にやっと目覚めて貰う。自分の目で彼女を見ることは当然、嬉しいことだけど、彼女が起きた後、僕はどう彼女に挨拶すればいいのかな?いつもこのことで悩んでいるんだ。おかしいだろ?
シオン
「彼女に『おはよう』っていうのはどうですか?
ケビン
「『おはよう』?
シオン
「朝なんですから、『おはよう』って言うべきですよ。
ケビン
「そうか・・・。その通りだよ。ありがとう。これで安心して眠れるよ。
シオン
「それは良かった。
ケビン
「君も早めに寝るんだよ。
シオン
「はい。
ケビン
「おやすみ。
シオン
「おやすみなさい。
シオン
「そうね・・・。皆だって早く彼女を見たいのよね。
ゾハルの前に立ったシオンは突然ある奇妙な感覚を抱いた。鈴の音を聞いた直後、時間がまるで凍結したかの様になった。そして、あの金髪の少女がゾハルの前に現れた。シオンはまるで知らず知らずの内に引っ張り込まれる様にして奇異な空間に入った。金髪の少女はシオンに何かを言っており、少女は身をひるがえしてゾハルの中へと入った。シオンの手がゾハルに触れた瞬間、ゾハルはまるでシオンの為に道を開く・・・。シオンがどうすればいいのか分からないそのとき、一つの大きな声がシオンを現実世界に引っ張り戻した。
兵士
「危ない!!
少佐
「貴様、何をやっている!まさか、責任者にあらず者が近付いてはいけない事を分からない訳ではあるまいな!この物体は既に三人を消失させたんだぞ!早く出て行け!お前の様な人間がいては、俺の兵士が精神を統一出来ぬわ!!
シオン
「す、すみません!!
少佐
「この阿呆がぁ!この戦艦はあろう事か、一般人を船に載せやがって・・・。貴様、何をボーっとしている!馬鹿野郎!発奮せい!
シオンが少々歩いた所で、シオンは第一通路でさっきの奇異な体験を経た為にぼーっとしていた。アレンが何度彼女を読んでも、彼女には聞こえない。
アレン
「・・・主任!
シオン
「アレン君?
アレン
「主任、また忘れ物ですよ!こうやって、歩きながらボーっとしているなんで危険ですよ!
シオン
「あ、ごめん・・・。ちょっと考え事としていてね・・・。
アレン
「どうしました?
シオン
「ん・・・これは私の幻覚に違いないわ・・・。
「アレン君、さっきは本当にありがとうね。
アレン
「あ、いえいえ。こちらこそすみませんでした。新人には、言ってはならないことがあると言っておきました。しかし、主任には彼の気持ちを分かってやって欲しいと思います。確かにKOS-MOSは不安をもたらしており、それはまだ完全に払拭した訳ではありません。しかし、私達は既に全力を尽くしており、出来るだけ完璧の域に達しています。皆だって自分達の努力の成果をこの眼で見たいんです。それは自分も同じです。
シオン
「わかっているわ。けれど、私はやっぱり・・・
アレン
「主任、やっぱりあの一件を忘れ去れないのでしょうか・・・
シオン
「うん・・・あの事件の事か・・・。
シオン
「ごめん、貴方が思っている様な事じゃないの。何でもないわ、さっきの事は忘れて。さて、KOS-MOSを早く完成させなくっちゃ!
シオンのコネクションギアへ着信<注釈:原書にはこの記載はなく、翻訳者の訳し忘れっぽいが、便宜上ORの脚本を参考とし、挿入>
シオン
「あ、誰か呼んでいる!
アレン
「またレアリエンの調整ですか?彼等には構わない方がいいと思いますが・・・。他の部門の人を巻き添えにした関係なんて服務規程違反なんですからね。その上、今はブリッジへさっさと出頭する時じゃないんですか?
シオン
「大丈夫よ、大丈夫。まだ時間があるわ。それに、通り道よ。そんなに冷たくしない。じゃね!
アレン
「あ!しまった、本当は彼女に仕事終わったら食事行こうって言おうと思っていたのに・・・。
Indexへ戻る
5.レアリエン
シオン
「こんにちは、ヴェクターです。
カスパーゼ
「あ、ウヅキさん、いつも迷惑をおかけしてすみませんね。
シオン
「大丈夫ですよ。大尉、私はレアリエンには永遠に健康でいて欲しいと思っているんですよ。どうしたのですか?
カスパーゼ
「ええ、部隊の組み合わせ刷新に伴い、彼等に新しい戦術アルゴリズムを学習させなくてはならないのです。しかし、データのインプットが一向に巧く行かないのです。
シオン
「本当ね。まさか拒絶信号が出ているなんて。見て見るわ。
レアリエンの状況を見終わると、招かれざる客が現れる事となる。
シオン
「調整はもう終わったけど、戻った後は私達の本社の三局へ連絡を下さい。やはり、彼等に正式に看護して貰う方がいいと私は思います。
カスパーゼ
「分かりました。それにしても、やはりすごいものですね。KOS-MOSの開発責任者だけでなく、レアリエンさえも治療出来るとは。聞く所によるとレアリエンの看護技術は相当に学習が難しいとか・・・。
シオン
「いえいえ。全部上司が渡しに教えてくれたことです。私一人じゃ出来ないことです。それに、私は元々三局へ入りたかったんです。実際の所、今の仕事が終わったら、私は転任申請を提出しようと思っているんです。
カスパーゼ
「ヴェクター第一開発局はエリート中のエリートであり入るのは難しいと伺っていますが、貴女はそれでも転任したいと?
シオン
「ええ。家族も『お前みたいな人間が意外なことに一局へ入れるなんて。きっと手続き上のミスか何かがあったんだ』ってよく言うんです。私も同感なんです。それに、彼等のこともっと理解したいですし。
バージル
「あんな物を理解して何になるんだ?
カスパーゼ
「バージル中尉!
バージルは傍若無人にレアリエンの一人に近付くと蔑みの表情を表した。
バージル
「臭ぇ・・・。
シオン
「え?
バージル
「臭いって言ってるんだよ・・・まるで俺の嗅覚神経上に直接来る様なこの種の匂いだ。おい、お前は少しも嗅げないのか?こういうのは吐き気がする匂いだぜ・・・。
シオン
「あ、あなた何を言っているのですか?
カスパーゼ
「好い加減にしろ!少佐から事前に指示はあっただろう?今回の作戦はA.G.W.Sとレアリエンの相互支援を目的としているものだと。なのに、お前は滅茶苦茶なことを言う。
バージル
「相互支援?誰が、こんな物が戦場であいつらに対抗できる物だって保証した?戦闘用レアリエンとの相互支援?勘弁してくれよ。
シオン
「あの・・・・・・、しかしですね、戦闘用レアリエンは優秀な兵士でもあるのですよ。
バージル
「彼等?人間の装備に過ぎないんだぜ。
シオン
「あ、それ言い過ぎですよ!彼等だって私達同様に、知性と感情を持っているんですよ。レアリエンにも基本的人権があって、それは4763年に制定されたミルチア憲章の中にもはっきりと規定されているんですよ。
バージル
「ただのごまかしだろう。聞いただけで反吐が出るぜ。表面上は人道主義を装いやがってよ・・・実際の所、お前等からすりゃ、あいつ等は装備品に過ぎないぜ。否、商品か。
シオン
「私達は彼等を装備や商品としては見ておりません!
バージル
「なら、俺に教えてやってくれ。何故、彼等は戦闘用レアリエンに分類されているんだ?これこそが、お前等がレアリエンを商品と見なしていることの証拠じゃねぇか!何を言おうと、彼等はただの戦闘の道具でしかないんだよ!その上、俺は知っているぞ・・・お前等には商品管理用の緊急コントロールがあるってことをな。
カスパーゼ
「バージル!まだいうか!
この時、一人のレアリエンがやってきた。
バージル
「な、何だよ・・・?
レアリエン
「注意の言う通り、私達は確かに商品として製造され、教育を受けました。しかし、私は現在の仕事を光栄と思っています。その上、それは私達が人に脅迫されたものではなく、自分の意思によるものです。
バージルはこのレアリエンを見て、少しもいいかえさなかった。そして、突然、苦しみ出して床に膝をつける。
バージル
「自由意志ってか・・・。好きにしな。せいぜい、今はこの状況を享受しておくことだな。いつの日か、お前は俺みたいになる。その時、意味を理解するだろう・・・。
シオン
「あの人・・・まさかDME中毒?
バージルが部屋を去る。
カスパーゼ
「ウヅキさん、本当にすみませんでした・・・。あいつも以前はこんなんじゃなかったのに、全てあの事件を経てから・・・
シオン
「彼を知っているのですか?
カスパーゼ
「軍事学校にいた時、私と彼は同期でして、確固とした絆<注釈:ORは腐れ縁>もまた結ばれたのです・・・。私達はミルチアです。
シオン
「やっぱり・・・だから彼は・・・
カスパーゼ
「貴女もご存知でしょう?三局を目標とする人からすれば、これは理の当然でしょうね。
シオン
「私・・・私も故郷はミルチアです。今でこそ、人類が近付けない場所となりましたけど、戦後、主星が第二ミルチアに移った際に私達も共に引っ越してきたのです。今は兄一人だけがそこに住んでいます。
カスパーゼ
「やはり。過ぎ去った不愉快な出来事を思い出させてしまってすみません。
シオン
「いえ、大丈夫です。私にとっても忘れることの出来ないことですから。彼等の為にも
シオンのコネクションギアに着信<注釈:原書にはこの記載はなく、翻訳者の訳し忘れっぽいが、便宜上ORの脚本を参考とし、挿入>
「・・・しまった!ブリッジの出来事を忘れていた!すみません、後で貴方達を診てあげるからね。またあとでね!
Indexへ戻る
6.寝るだけの兵器に存在意義は無い!
アンドリュー
「なるほど。武装は大体分かりました。で、一番重要な実働データは?
シオン
「この方面のデータはまだありません・・・今日はA7まで行きました。
アンドリュー
「つまり、無いと?
シオン
「はい。近い内に模擬体を通じて実戦実験に入る予定ですが、システムがまだ不安定で・・・。
アンドリュー
「それは言い訳でしょう、ウヅキ主任。一体、この船に何の為に乗ってきたのです?その辺のことをよく考えて貰いたい。
「装備こそ更新されたものの、結局はあたふたと編成した艦隊だ。A.G.W.S.は配備されているが対となる百式観測機はおそおそと未配備のままだ。この様な状況の中で万が一、“奴等”が来たら、一体どうするべきか?教えてくれないか?KOS-MOSはこの様な状況の処理の為にある、違いますか?
シオン
「は、はい・・・
アンドリュー
「分かっているのですか?一旦、軍艦に上がったら、そこは貴女の研究室内ではない、戦場の上だ!KOS-MOSはこの戦場の尖兵だが、まだ実働していない、これはどういうことなのですか?寝ているだけの兵器に一点の意義も無い!兵器は動いてこそ意義があるのです、だが、貴女は・・・
モリヤマ
「中佐、もういいだろう。私達があたふたと編成された艦隊である様に、彼等も同じだ。この突然の状況下で開発を進行させなくてはならないのだ。その上、実際の起動まで後一つなだけだ。
「どの道、私達はこの時間を過ごせば良いだけなのだ、今回の作戦が平穏無事に終われば、それで良し、違うかね?
アンドリュー
「艦長、貴女の言うことに間違いはありません、しかし、私は・・・
アンドリューがまだ争論をしようとした時、ある大物がこの時に彼を呼んだ。<注釈:ORを中国語に翻訳した人独自の注釈と思われる>
アンドリュー
「一体誰だ、こんな時に・・・
モリヤマ
「どうした?
アンドリュー
「い、いえ・・・緊急の連絡が・・・失礼します。
モリヤマ
「一体どういうことだね?
シオン
「私も分かりませんが・・・
モリヤマ
「まぁ、良いだろう、ウヅキ主任、今日はこんな物だろう。もしまだ何か進展があったら、私に報告してくれ。
シオン
「ご期待を満足させられなく、本当に申し訳ありません。
モリヤマ
「あやまることはないよ。使う我々からして一番大事なのは彼女が信頼できるシステムであるかだ。こうしたことは急ぐことは出来ないものだ。急がなくたっていいよ。大丈夫だ。どうせ、金は政府が出すのだからな。ご苦労だったね。今日はもう休んでていいよ。
Indexへ戻る
7.失態
シオンが部屋で休んでいる頃、アンドリューはマーグリス指令と話をしていた。
マーグリス(注釈:馬格利斯)
「アンドリュー、貴様にしくじられたな<注釈:失態だな、アンドリュー>。貴様にはねんごろに言いつけた筈だ。今回の回収工作には充分に注意しなくてはならない。ゾハルの危険性も警告しておいた筈だ。
アンドリュー
「はい。何人かの機関員に犠牲が出たことには申し開き様もありません。しかし、我々も・・・
マーグリス
「誰がこんな小事を問題視するのだ?あんなことはゾハルに人が接触し、『消失』したことであり、事件の発生後、お前が何の処理もせずにあれを通常空間にさらした状態で移送していること、それこそが問題だ。お陰で今回は計画を二つの手法を以ってして、この計画を進行せねばならない。<注釈:原書の意味については中国語を母語とする方に確認を取っている最中であるが、現時点での結論として『2フェイズ繰り上げなければいけない』というORの台詞が『二つの手法でこの計画を進行せねばならない』と訳されているのは間違い>政府の手中にゾハルは収めさせん。
アンドリュー
「二つの方法で?何故です?
マーグリス
「こちらのEPRレーダーが既にU.M.N.空間内での転移現象を捉えた。相手はコラムを跳躍する形で貴様の艦隊に接近している。接触予測時刻は5時間22分後だ。
アンドリュー
「まさか奴等(グノーシス)が?<注釈:ORでは奴等=グノーシスとはこの時点では言っていない>
マーグリス
「だから、貴様がしくじったと言っている!一時間前に、増援の艦隊を既に派遣した。造園が到着するまで、どんな方法を使ってでも保たせろ。
アンドリュー
「ま、間に合うのですか?
マーグリス
「保たせろと言っているだろ!もしもの時はあれをハイパースペース(注釈:超空間)に捨てても構わん。幸い、貴様の艦にはあの兵器が配備されている。現在は彼等の目的は分からないのだが、その時はせいぜい利用しておけ。
アンドリュー
「しかし、あの兵器は実働の起動実験すらまだ進行していないのですよ!危険過ぎます!
マーグリス
「あれの力は貴様が一番知っている筈だ!少し不安定だろうが構わん。早くやれ!
アンドリュー
「し、しかし・・・
マーグリス
「以上だ。
アンドリュー
「待って下さい、司令!マーグリス司令!
Indexへ戻る
8.超古代の風習を復活させないでくれる?
シオン
「けど、今は仕事が一段落するまでは無理だって前から言っているでしょ?
ジン(注釈:吉恩・卯月)
「お前はいつもそんな言い訳をして、私はもう2年も貴女と会っていないのですよ。せめて、両親の法事の時位は来るのが、人としての義務ですよ。
シオン
「法事?兄さん、超古代の風習を復活させないでくれる?あ、また変な本を読んだのね。書痴もほどほどにしないと、嫁さんを貰えないから、気をつけて。
ジン
「うるさい。人の信念には干渉しない。お前は何度私に言わせるのです?
シオン
「何が信念よ、そんなのは兄さんの趣味でしょ?まったく、今後は私、世代間のギャップを持った兄を持つのね。
ジン
「何を好き放題言っているのです?本当に失礼ですね。そんなことよりも、今年こそ帰って来る私に言っておくれ。でないと・・・
シオン
「はいはい、休暇があったらね。じゃ、切るね。
ジン
「おい、お前何をするのです、もしもし、もしもし・・・
シオンは兄のうるさい一言を聞きたくなく、通信機を直接切る。
シオン
「まったく・・・。少しでも私の気持ちを理解してよ・・・。
シオンが眠りについた時、場面は再びあの場所となり、少女が再び出現する。
シオンが丁度良く夢を診ていたとき、ある人物がこっそりとKOS-MOSの起動指令を発動し、驚天動地の変局がここに展開されることとなる。
KOS-MOS調整室では・・・
アレン
「おい、お前等まだいたのか。
ベッセル
「あ、お疲れさまです。今日の以上を特定するために、まだ仕事をしているのです。副主任だってまだ休憩していないじゃないですか。
アレン
「さっき、アンドリュー中佐に捕まったよ。
トガシ
「あいつは本当にうるさい方ですからね。手強いですよ。
アレン
「僕達は学生みたいに悠長にやっている場合ではないとか、僕達はガールズスカウトに指揮されているのかといっていたり・・・。まったく、たまらないね。(注釈:ORと意味がかなりずれている個所)
ジョンベル
「悔しいですね。
アレン
「だろ?とはいっても、主任一人に全て任せる訳にはいかないからなぁ。それはともかく・・・彼がやけに焦っていたのが、どうも気になるなぁ・・・。
Indexへ戻る
9.KOS-MOS警戒態勢レベル4!
特遣艦隊がすでに次のコラムへ近付いていた頃・・・
オペレーター6
「暗礁宙域を離脱しました。<注釈:ORではまだ暗礁宙域を離脱していない筈なので、誤訳と思われる>
モリヤマ
「うむ。ゲートジャンプの準備をしろ。
オペレーター3
「了解。全艦隊ゲートジャンプに入ります。
オペレーター6
「コラム有効範囲まで後19分30秒
オペレーター3
「U.M.N.パルス受信
オペレーター2
「目下の座標を固定し、転移ベクトルを修正103、目標アセンズ(注釈:亞森斯)コラム。
残り十数分でこの特遣艦隊は平穏無事に帰還できる。だが、この時警報が鳴り始めた・・・
オペレーター2
「艦長、この警報は・・・
モリヤマ
「まさか、“奴等”?
オペレーター2
「いえ、サーチシステムは平静を保っています。おい、そっちはどうだ?
オペレーター6
「私の所も同じです。誤作動ということでは?
オペレーター2
「そんなことはありえない・・・これは・・・
モリヤマ
「いったいどういうことだね?
オペレーター2
「この警報は本艦以外の対象に向けたものではない筈です。
モリヤマ
「じゃ、これはどこからのだね?
オペレーター2
「今よりサーチを試します・・・異常状況の出所はを発見しました!本艦第三区!?
KOS-MOS起動命令下達【かたつ】後、KOS-MOSはヴォークリンデのシステムに侵入並びに、掌握を始めた・・・<注釈:ORでの場面をどう解釈するかにもよるかもしれないが、この訳は微妙と思われる>
オペレーター2
「これはKOS-MOSです!
同一時刻、調整室の人々もKOS-MOSの起動に驚き飛び跳ねんばかりであった。
アレン
「なぜ可能なんだ!?おい、なぜ、こんなことに!?
ベッセル
「わかりません!実際、突然過ぎます!現在、確認作業中です!
トガシ
「KOS-MOS警戒態勢レベル4!拘束プログラム解除、くそっ!勝手に起動したぞ!
ジョンベル
「私の所もすでにカウントダウン信号が出現しました!
アレン
「いったい、どういうことなんだ!?何でこんな突然・・・
悪夢から目覚めたシオン、ウィンドウのデータを見た途端、現在、好ましくない状態にあることを理解する。
シオン
「カウントダウン!?ありえないでしょ!
シオンはせっせと着替え、調整室へ連絡するが、出るのはジンの留守伝言。<注釈:この個所は明らかな間違い。ORでのこの場面はシオンは自室の通信端末からアレンにコールしているが、繋がらず、艦内の警戒発令及び信号を聞いている>
ジン
「ブツブツ・・・
シオン
「もう、何でこんな時に・・・まさかKOS-MOSが勝手に起動を?・・・ありえないわ。当初の設定ではKOS-MOSは私の端末機からパスワードをインプットしなければならず、そうしてようやく起動し、自分で目覚めるなんてありえない・・・こんなこと再び発生するはず無いのに・・・
部屋から走り出るシオンだったが、通路が閉じてしまう。
シオン
「やはり・・・あの時発生した事件と同じだわ・・・
シオンは2年前の惨劇を思い起こしていたが、別の警戒信号で現実に引き戻される。<注釈:ORでは警戒信号が二種類あったが、中国語訳では一種類に混同されているので、この個所も訳し間違いが少々あるといえる>
シオン
「今度は何なの?
Indexへ戻る
10.グノーシス襲来
モリヤマ
「今度は何だ?
オペレーター2
「前方を調べた所、大規模な空間歪曲現象が出現し、大質量物体がまもなく出現します!
モリヤマ
「そんな!?コラム有効範囲にはまだ到達していないのだぞ。・・・こんなことはありえない筈では・・・
オペレーター2
「U.M.N.の幾らかの構造体が置き換えされています!
オペレーター3
「対象は何らかの方法でU.M.N.に干渉している様です!
モリヤマ
「システムをハッキングされた!?何故そんなことが!?
オペレーター3
「重力偏向値甚大!時間と空間<注釈:ORでは時空間>に不連続面が出現!
モリヤマ
「何故こんなことに!
オペレーター1
「ロジック推論上じゃあ、不可解だ!
オペレーター6
「質量計算中・・・質量不一致!明確な数値が算出できません!質量、甚大!
オペレーター4
「波高は?
オペレーター2
「こ、これはまるで津波並みの重力波だ!
オペレーター4
「質量が増大!通常空間に実体化します、艦長!
オペレーター2
「し、正面から来ます!
モリヤマ
「やはり巡礼船団【グノーシス】(注釈:巡邏船団)か!
大量のグノーシス艦隊が障害物となり、特遣艦隊の帰郷の道を遮る。有効な反撃の武器に欠く特遣艦隊は侵略されるがままに任せるしかなかった・・・・・・
艦内では戦闘警報がすでに公布されており、あらゆる武装兵達がすでに戦闘準備をしていた。
バージル
「お前ら<注釈:レアリエンのこと>は手足が切れ落ち様と何も感じないだろうが、自分の肉体だけで応戦するなんざ、やはり、勇気があるもんだぜ。それも良いかぁ。お前等は大人しく後ろ盾を演じてくれや。
グノーシスの侵入後、兵士達は勇敢に抵抗するが、反撃し様がなく、戦況は悪化する一方だった・・・・・・
一方の道が塞がれたことにより、シオンは止むを得ず、眼前のグノーシスと戦うが、対抗手段がまったく無いことを知る。シオンは巧みにグノーシス等をかいくぐり、通信室までたどり着く。
Indexへ戻る
11.KOS-MOS完全起動
シオンが通信室に辿り着いた同時刻
アレン
「止まらないのか!
ジョンベル
「方法がありません!コントロールを受け付けません!
トガシ
「KOS-MOS、自立モードで起動!
アレン
「はぁ、ありえない!あの事件の後、自立モードはすでに凍結されている筈、主任の端末から命令が出ない限りは凍結解除は出来ないはずだ!くそっ、何でいつもこんな時ばかりに・・・まさか、グノーシスに対して反応したか・・・あ、主任はどこに!?
新人
「ここへ向けて出発している筈ですが・・・UNPの通常帯が電波妨害に遭い、連絡できません。
アレン
「じゃ、非常帯は?
ベッセル
「今、試しています・・・・・・
ほどなく、シオンの携帯の着メロが鳴り出した・・・シオンは自分の携帯を席に置いているだけであった・・・・・・
アレン
「○○××・・・・・・
KOS-MOSの完全起動と同時に、電源が突然切れる。
アレン
「どうした!
トガシ
「わかりません、電源が突然・・・・・・
完全にコントロールの出来ないKOS-MOSはこうして自己覚醒した。あらゆる研究員が2年前の事件を聞いていた為・・・・・・自分等に有り得る末路を想像し、驚きの余り、各々は慌てふためた。そして、KOS-MOSは周囲の状況を確認すると、艦内のシステムに切り込み、シオンの行方を探し始めた。
Indexへ戻る
12.さよなら、お気をつけて!
シオンがようやくレアリエン調整室への道に着いた頃、バージル達はそこに敵が襲来したと思われていた。
バージル
「けっ、なんとまぁ一匹で来るとはなぁ<注釈:ORではのこのこやって来やがったぜ>・・・逃走パターンは一匹だけだが、まぁ俺の頭を下げさせてくれるぜ<注釈:ORは嘗められたものだぜ>
シオンがバージル達の視線に入ったばかりの所で、彼女は集中砲火に遭うが・・・・・・幸運だったのは、彼等の射撃術が悪く、シオンは全くの無傷でいられた。
バージル
「馬鹿野郎!何しに来た!?
シオン
「危ないでしょう!?当たったらどうするんですか!?
バージル
「当たったら、ざまぁねぇだろう!何を至る所で走り回っていんだ?グノーシスだと思ったじゃないか!
シオン
「私だって、大変なんです、途中でグノーシスに襲われるし・・・私だって道に迷ったんです。神様じゃないんだから、私じゃ始末できません。
バージル
「騒ぐなっ!この戦艦はお前等の会社が作っただろ!
シオン
「私は艦船部じゃないんです、私だって戦艦は分かりません。
バージル
「今は緊急事態だろ!民間人が至る所で走りやがって。
シオン
「私だってどうしようもなかったんです。KOS-MOSが心配だわ・・・
バージル
「KOS-MOSだぁ~・・・後で言え、後で!早く避難しろ!
シオン
「出来るんなら、私だって逃げたいです。
バージル
「じゃ、何で逃げない!
シオン
「それはKOS-MOSが・・・
バージル
「はっきり言え!
兵士1
「お、おい!
レアリエン
「来るぞ、位置に戻れ!
兵士1
「おい、中尉!
バージル
「何だ!?そんな大声で言わなくたって、聞こえるぞ!・・・な、何だ!?これは・・・おい!お前等早く壁から逃げろ!
グノーシスが壁を通り抜け、バージル達に攻撃を始める・・・・・・戦争の場面を見たことの無いシオンは驚きの余り、足がすくみ出し、危機一髪の所を一人のレアリエンに命を救われる。
レアリエン
「大丈夫ですか?
シオン
「あ、ありがとう。
レアリエン
「どういたしまして。そうだ、このE区の方向を行った後、格納庫へと着きます。そこにはライフポッド(注釈:救生艇)がありますので、ライフポッドに乗って逃げて下さい。
シオン
「じゃ、あなた達は?
レアリエン
「私達はここで応戦しなければなりません、今の内に早く逃げて!
シオン
「だめ!あなた達を捨てて逃げられない!皆で行かなくちゃ!
次々にやられる前線のレアリエン達。
レアリエン
「思い出して下さい。私達が創造された目的が何かを。
シオン
「でも・・・
レアリエン
「心配しないで、私達はその為にここに生まれたのです。
シオン
「あなた・・・
バージル
「おい、お前、そこで何をやっている!?早く隊伍に戻って応戦しろ!
レアリエン
「さよなら、お気をつけて!
バージルとグノーシスがもつれきれない状態と同時に、ヴォークリンデの末路も次第に近付き始めた。
Indexへ戻る
13.ヴォークリンデの末路
オペレーター3
「ベルタ区間反応無し、防空網の効率20%に低下!
モリヤマ
「射撃管制官、何をやっている!早く敵の母艦を沈めんか!
射撃管制官
「無理です!こんな近くでは艦砲射撃が出来ません!
オペレーター6
「敵部隊、リアクタールーム(注釈:反応機器区域)に侵入!
機関担当
「炉心緊急閉鎖!バイパスを違う方に処理させろ!
オペレーター6
「A.G.W.S.損耗率70%を超えました!
特遣艦隊が主砲を敵母艦に向けて射撃するが、完全に遮られる。そしてグノーシスの反撃は早く、特遣艦隊は即座に総崩れとなってしまう。
オペレーター2
「オオゲツ(注釈:大月)沈黙!
オペレーター6
「ヒースン(注釈:比森)隊損耗!
モリヤマ
「増援の要請はどうした!?
オペレーター2
「増援要請を出しております!こちら117海軍師団所属の巡洋艦ヴォークリンデ、現在、敵巡邏船団と交戦中。宙域座標はKK417Y009 2735!出来るだけ早い増援を!繰り返す・・・
オペレーター3
「艦長、やはり・・・
モリヤマ
「間違い無い!奴等の目的はあの物体だ!
オペレーター6
「左舷ロジカルドライブ損傷、F区火災発生!
モリヤマ
「くそ!副船長はどうした?アンドリューはどこに死にに行った!?
この末路を早めに予測していたアンドリューはすでに宇宙服を装備し終えており、格納庫へ向かって自らの使命実行準備をしていた。
オペレーター3
「LPSが干渉を受けています。目前の位置を確認できません!
オペレーター2
「防衛ライン突破!敵主力艦、こちらへ向かっております!
モリヤマ
「しまった!
ブリッジが攻撃を受けた時と同じ頃、アンドリューは既に格納庫へ到着していた。
Indexへ戻る
14.私の証明を為【な】せ
アンドリュー
「状況はどうだ?
技師1
「本区メインエンジンとサブリアクター(注釈:補助反応器)を既に連結済みです。3分以内に要求される動力を生み出せます。
技師2
「ロジカルドライブの作業は終了、この端末からコントロールできます。
アンドリュー
「それでいい。良くやった。
ヴァンダーカム
「中佐、無茶です!この区域を直接ハイパースペースにジャンプするなんて自殺そのものだ!防護フィールド壁(注釈:防護壁)無しにハイパースペースに入ったら、肉体が耐え切れない事は中佐も良く分かっている筈!
アンドリュー
「これを指令の下へ送ればそれで良い。あと数分後すればコラムの影響範囲に入る。時間が無い、お前等はライフポッド(注釈:逃生艇)へ行け。
ヴァンダーカム
「中佐、外にはグノーシスの大群が待っており、逃げても生きるチャンスはありません!我々も中佐と共に最期まで・・・・・・
アンドリュー
「良く聞け、グノーシスなんぞ数が大いに過ぎぬだけだ。何が何でもやはりあれを目覚めさせるよりは良い。ライフポッドが射出されたら、即座に8mmのDIGをうて。それで暫し仮死状態となり、奴等の注意を引かずに済む。数時間したら、指令の増援が到着する。お前等は生き続け、並びに私の証明を為【な】せ。
ヴァンダーカム並びに技師一同
「中佐!
アンドリュー
「早くしろよ!
バージル達が必死に抵抗をしていたにも関わらず、グノーシスには傷を付けられない。グノーシスの気化弾頭の攻撃の下、バージルを除く全ての兵士達は殆どが死んで消え去っていた。シオンも又、地面の揺れによって、端末を地面に落としていた。
Indexへ戻る
15.存在意義
バージル
「どうする・・・・・・どうしたら、あいつらを止められる・・・・・・一体、どんな方法があるんだ・・・・・・
バージルはレアリエンがまだ震えていることに気付き、振り返るとシオンの端末機を見かけた後、バージルの霊感が閃き、シオンの端末機を拾いあげる。
シオン
「何をするの!返して!
バージル
「慌てるな、すぐに返してやるよ。お、彼等は506型だったよなぁ」
シオン
「じゃ、何?
バージル
「14年位前だったかな、俺がミルチアから帰還した頃の話だ。かつて、おれはある目的の為に戦場の上で彼等を何人もばらしていたんだ。思い出すだけで苦労するぜ。彼等にはソフトとハードに一定のプロテクトが掛かってたんだ。
シオン
「プロテクト?中尉、あなたやはり彼等の中枢組織を食したのね。
バージル
「お前さん、ほんとに鋭いなぁ。あれは美味だったぜ。
シオン
「酷い・・・・・・
バージル
「あの時から俺は制御コードの存在を知ったんだ。これはほんとに便利だぜぇ。そう、俺はこれらのレアリエンでグノーシスを遮るのさ、これでな!!
シオン
「やめて!貴方は彼等を何だと思ってるの!?これは人権に対する・・・
バージル
「人権侵害だって言いたいのかい?それは平時に言うものだぜ。ミルチア憲章なら、非常にはっきりと分かっているぜ。ミルチア憲章第四条十三項、戦闘用レアリエンは有事及び暴走時の、危機発生を防ぐ為に遠隔端末設備によってその行動、並びにその自爆機能の起動等をコントロールできる。その指令の下達【かたつ】を現場の指揮官が判断及び執行する。って所か。
シオン
「・・・・・・
バージル
「だから、今がその時なんだよ。彼等を有効利用する為のな・・・・・・
シオン
「やめて!貴方に彼等の生理機能を停止させる権利なんてないわ!彼等を自爆させるなんて、私はあなたを絶対に許さないわ!
バージル
「じゃ、どうする?言ってくれよ。こうなった以上、お前等は何故、この機能を削除しない?この種のコントロールの制御コード、お前等に削除できる方法がある筈だぜ。お前等意気地無しが僅かな骨折りをするだけで、彼等は本当の自由を得られるんだぜ。だが、お前等はそれをしない。何故だ?
シオン
「それは・・・会社の規定。
バージル
「その通り。規定だよ。つまり、お前等がこの規定で彼等を縛っているのさ。俺と比べて何が違う?彼等の生存意義はお前等の立場からすれば、授けるもの。違うか?
シオン
「それは・・・・・・
バージル
「少し説明すると、これは造物主と被造物主の関係だ。違うか?なら、俺が今、彼等の存在意義<注釈:ORでは存在意義【いきたあかし】と読む>ってのを授けてやろうじゃないか。
Indexへ戻る
16.やっぱ・・・・・・私は死ぬんだ・・・・・・
バージルの自爆指令下達【かたつ】後、グノーシスを遮る事は依然としてできない。バージル自らが倒されただけでなく、シオンもグノーシスに捕まる。
シオン
「やっぱ・・・・・・私は死ぬんだ・・・・・・
シオンの意識が次第に遠のいた時、あのブロンドの少女が又出現した・・・・・・
シオン
「こんな所に・・・・・・女の子・・・・・・どこかで見たかな・・・・・・ここは危ないよ・・・・・・早く逃げて・・・・・・だめ・・・・・・言葉が出ない・・・・・・ここまでね・・・・・・どうせ死ぬんだし・・・・・・
グノーシスの動作が突然止まった。KOS-MOSも丁度良く、この時に登場。
アレン
「主任!大丈夫ですか?
シオン
「アレン君、何でここに?
アレン
「他の人は皆既に我々の練習艇にいます。KOS-MOSが彼等を離脱させたんです。主任も早く!
シオン
「KOS-MOSが?
KOS-MOSがヒルベルトエフェクトを起動させ、付近の全てのグノーシスが即座に実体化し、KOS-MOSが即座に反撃を始めた。
バージル
「こ、これは何の化物なんだ!?
シオン
「KOS-MOS!
アレン
「つ、強い・・・・・・(注釈:ORは『す、凄い』)
KOS-MOSが追撃を振り払う。
KOS-MOS
「シオン。
シオン
「な、何?
KOS-MOS
「第一格納庫へ行きます。グノーシスの目標は99.998パーセントの確率で格納庫に保存されている物体です。私に与えられた任務は物体の確認並びにその保護、そしてあなた達ヴェクター関係者の保護です。
シオン
「けど、私は・・・・・・
KOS-MOS
「格納庫の第二層にライフポッドがあります。それを利用して逃げて下さい。
シオン
「KOS-MOS・・・・・・
アレン
「しゅ、主任!
A.G.W.Sと融合したグノーシスと戦い、それを倒す。
Indexへ戻る
17.私は人間ではありません、ただの兵器です
一行はその後、やっとのことで格納庫に到着した頃、アンドリューは依然としてゾハルを送ろうと試しており、システムはその時を待っていた。
アンドリュー
「くそ、こんな時に壊れるとは!これでは生きた証を示す機会が無いではないか!
シオン
「アンドリュー中佐・・・・・・
アンドリュー
「お前等は!?どうしてここへ!?グノーシス・・・む、目覚めたのか・・・・・・
バージル
「来い、来い、来い!来いよ!死ね!糞野郎!はははは・・・・・・
シオンも武器を取り、力を振り絞って抵抗するが、後方にグノーシスが突如現れ、シオンを脅かす。この危機にバージルが身を翻してシオンの近くにいるグノーシスを射撃する。だが、バージルはKOS-MOSを遮った為、バージルはKOS-MOSに容赦せずに蜂の巣にされてしまう・・・・・・この惨劇を目の当たりにしたシオンはKOS-MOSの残酷無情さにがっかりしていた。
KOS-MOS
「この船は間もなく瓦解します<注釈:ORは沈む>。急いで下さい。
シオン
「待ちなさい、KOS-MOS。KOS-MOS、あなたさっき、何をしたのか分かっているの?
KOS-MOS
「私に与えられた任務はあなた達ヴェクター関係者の保護であって、軍人を必ず保護しなくてはならない指令は受けておりません。
シオン
「でたらめを言わないで!たとえ、こう言う状態でも人を殺していい訳じゃないのよ!何でバージル中尉までを殺さなくちゃいけないの?彼が死んでいなければ、あなたの僅かばかりの助力になれたのよ!<注釈:ORでは『彼を犠牲にしなくてもあなたの力なら』となっており、訳した本人の意訳又は勘違いでの誤訳と思われる>
KOS-MOS
「あの時、バージル中尉は私の射撃軸戦場に丁度おりました。もし、私が射撃線を変えたら、あなたの保護をする為に私の12時方向の火力が30%以下に低下していました。比べて見れば、中尉が死ぬのは戦力がたったの0.2%しか減りません。私はあなたの生還の為に、一つの正確な選択をしただけです。その上、ライフポッドは2人しか乗れません。優先順位は決まっています。
シオン
「こんなことしていいの!酷いわ!良心ってものがあなたにはないの!?
KOS-MOS
「シオン、私は人間ではありません、ただの兵器です。これはあなたが一番理解していること。どうします?船に乗るのですか?もし彼の為に悲しむのなら生き延びるのが良いでしょう。でないと、彼はいたずらに犠牲になったに過ぎません。
アレン
「主任・・・・・・行きましょう。
KOS-MOSがゾハルをさっと見渡すと、グノーシスの頭目級が現れた。ミノタウロスの撃破後、シオンとアレンはライフポッドに乗り、KOS-MOSは最初に決められた計画に沿って、グノーシスにゾハルを奪わせた・・・・・・<注釈:この解説はは誤りなのか、正しい解説なのかの判断が難しい個所>