据说是126的捏他
二日にわたる学園祭も無事に終了し、いよいよ後夜祭を迎えようとしていた。
体育館、壇上では加藤先生の演説が続いていたが、つまらない話に生徒たちは退屈しきっていた。
今鳥などもその一人で、今日会った子からの早速のメールなどの相手をしていたが、そこに一条がやってきた。
後夜祭なんてつまらないよな、そう漏らす今鳥だったが、一条はもしかしたら面白くなるかもしれませんから見 ていてください、とそう笑顔で言い残して去っていった。
「は…はやく行こ…！！」
「上出来上出来！！ 一条にしては！！」
顔を赤らめている一条を、嵯峨野が笑顔で背中を叩きながら迎えてくれていた。
そして―――
『お―――い皆！！ 退屈な話なんか聞いていないで今夜はパーッと盛り上がろうぜ』
今なお続く加藤先生の演説マイクが引き抜かれ、主音声が奪われた。体育館に響き渡る何者かの声 。
ステージには、各々が王子衣装に身を包んだバンド組のメンバーが終結していたのだった。
ステージジャックを果たした彼らは、練習の成果を発揮すべく、熱の篭った演奏を開始した。
そして、歌姫一条の歌を契機に、体育館は徐々にダンスホールと化していったのだった。
「へぇ…あんな表情もすんだな、一条って…」
ステージで歌う一条を眺め、ポツリと漏らしたのは今鳥だった。ちょうどその時、待ち合わせをしていた女の子 がやってきたのだが。
「…ワリィ…何か…そういう気分じゃなくなっちった…ゴメンな」
楽しげに皆が踊る中、高野・沢近・天満・美琴の４人組は、壁の華になっていた。片づけをしていたため、ノリ 遅れてしまったらしい。
そこに、花井がやってきた。美琴に、演劇残念だったなと声をかける。
「んー、私は全然気にしてないよ…クラスもお客も盛り上がってたしさ」
気にした風も無い美琴だったが、少しだけ残念そうに言葉を続けた。
「ただお姫様はやってみたかったかな……まあガラじゃないけどね」
苦笑気味に嘆息。それを聞いた花井が、トンと軽く、美琴の背を押した。
「よし！ じゃあ劇の続きだ」
「え 何だよ！？」
押されて進んだ目の前には――――なんと、騎士の衣装に身を包んだ麻生の姿があった。
「もしかして花井に頼まれて？ い いいよムリしないで断ってくれて。ゴメンな花井の奴」
申し訳なさそうに言い募る美琴だったが、麻生はそっと美琴の手をとった。
「別に…ムリなんかしてないよ。お互いせっかくの衣装だ…踊っとこうぜ」
そして、スポットライトに映し出され、ホールを踊る二人。
周りからは姫と王子のペアですっげぇお似合いだ、と賞賛の声が上がるほどだった。
そんな幼なじみの様子を、花井は微笑ましく眺めていた。美琴もまた、普段とは違う少女の表情を浮かべていた のだった。
「八雲っ！」
今なお魔法使いの衣装を着たままの八雲を呼ぶ声が聞こえた。天満だった。
劇のことを詫びる八雲だったが、天満は全然気にしていなかった。ただ、
「でも愛理ちゃんには一言…ね」
「…沢近先輩」
「ん…？」
後ろからかけられた声に振り向くと、そこには八雲が立っていた。
「…ごめんなさい、劇の邪魔をしてしまって……」
「八雲…」
詫びる八雲に、自分も大人気なかったと沢近。もう気にしてないから安心なさい、という彼女の表情は穏やかだ った。
「それにあなたのおかげで…ヒゲと私は最後のシーンを演じずにすんだんだから…」
沢近は髪をかきあげ、「ねぇ踊らない？」と提案してきた。このまま見てるだけも暇だが、男子と踊る気分でも ないらしい。
八雲も了承した。そのまま、踊り始める。
「仲直り…できたみたいだね」
天満が踊る二人を見て微笑んでいた。
「あらアンタ、なかなかダンスのセンスあるじゃない」
「…そ そうですか？」
踊りながら、沢近は八雲に話しかけていた。
「…一つだけ聞いてもいい？」
沢近の声に、八雲の視線が上がった。
「あんたとヒゲって、本当に付き合ってるの？」
「え……」
八雲の目が見開かれ、頬にわずかに朱が注した。
「い…いえ別に……私は………………」
たどたどしく、紡がれる言葉。
「…私はただ播磨先輩にお手伝いを頼まれただけで…」
静かに聞いている沢近。八雲の視線が、落ちた。
「付き合っては…いません…」
寂しげな、表情だった。
「………………………」
沈黙―――八雲の言葉はそれ以上続かなかった。そんな彼女を見て、沢近は心中でそっと呟いた。
『そっか…そうなんだ……』
「沢近先輩…ダンスお上手なんですね…」
「まあね、昔向こうでよく踊ったから」
沢近と八雲のダンスは、いまや周囲の注目の的になっていた、二人ともかなりレベルが高いようだ 。
「ちょっとスピード上げるわよ。付いてこれるかしら？」
「あ…はい！」
楽しげに、ダンススピードを上げる沢近。八雲も難なく合わせている。周囲からは感嘆の声が漏れ た。
踊り終わった後、二人には惜しみない歓声と拍手が寄せられたのだった。
「なかなかやるじゃない。それでこそ戦った価値があるわ」
スポットライトに照らし出される、ホール中央の八雲と沢近。そしてその二人を見下ろす影が一つ ―――
「あの～～～～降ろして」
播磨が罰として、一人寂しく天井に磔にされていたのだった。
好像是……
爱理x八云……
播磨孤身一人被抛弃……
