オリジナル版の監督であるキム・ムンセン監督(左写真)と日本語版演出・脚本の山賀博之氏(右写真)
韓国産の超大作アニメ「ワンダフルデイズ」 日本語版を制作・配給するガイナックスが試写会を開催!
ガイナックスは、恵比寿ガーデンプレイス内の東京都写真美術館にて韓国発の大作アニメ「ワンダフルデイズ」の試写会を行った。本作「ワンダフルデイズ」は、韓国で制作費13億円、制作年数5年をかけて作られた純愛SFアニメ。同社の20周年記念作品として日本語版の制作・配給を進めてきた。奇しくも2005年は日韓国交正常化40周年でもあり、アニメの世界でも文化交流が行われることとなった。
本作は、エネルギーを巡る大戦争によって、世界が2つに分裂してしまった2142年の近未来都市「エコバン」とその周辺の町「マール」が舞台。選ばれた者たちが住む都市「エコバン」は、大気汚染から守られた楽園。一方、「マール」は、避難場所を求める難民たちが住む町。酸性雨が降り注ぎ、荒廃が進んでいる。人々は、かつての光が差し込む日々を“Wanderful Days”と呼び、希望の象徴としていた。
大気汚染にさらされ、エネルギー不足に悩む人々。「エコバン」の住民は、マールの住民を虐げ、身勝手に略奪し隷属させている。マールの住民が反乱を起こすのは時間の問題だった。そして互いの生存と尊厳をかけた戦いは、次第に激化していく。
本作の主人公の「スハ」は、かつてエコバンで暮らしていた青年。幼い頃に、友人「シモン」の策略により街を追われ、今はエコバンを敵に回している。マールの抵抗組織で活動するスハは、エコバンの心臓部の潜入に成功する。その時、彼の前に現れたのは、エコバンに残した恋人「ジェイ」だった。しかしジェイはエコバンの警備を担当する者。敵として対峙したふたりの心は揺れる…。スハとジェイ、そしてシモンの3人を中心に、普遍的な純愛や人々の愛情、平和への祈りといったテーマが描かれていく。
また、本作の魅力はその世界観やストーリーだけではない。キャラクターは通常のセルアニメ、バイクや車などの機械的なモノは3DCGで描かれる。ここまでは、日本のアニメでもよく見られる手法だが、本作にはもうひとつの特別な手法が取られている。それは背景。本作の背景はミニチュアで作られたもので、いわゆる実写。セルアニメ+3DCG+実写を組み合わせて作られた本作は、日本やアメリカのアニメにはない作り方。この映像表現とストーリー、世界観が一体となり、独自のアニメーションに仕上がっている。
試写会には、本作の監督であるキム・ムンセン監督と日本語版演出・脚本の山賀博之氏が出席。山賀氏は本作の日本語版を制作・配給することとなった経緯について「韓国の映像見本市で、見かけたのがきっかけ。言葉がわからないので、その時はストーリーもわからなかったが、細かな演出や映像のクオリティーの高さに魅了された。この作品に関われたことを非常に光栄に思う」と説明した。この山賀氏が認めた映像表現についてキム監督は「自分なりのアニメーションを作りたかった。自分はこれまでアニメーションと『紙の上で動くモノ』と感じていた。でも私はもっとリアリティを求めていた。そこでミニチュアとセルアニメ、3DCGの合成を思いついた。これが成功すれば、他のアニメと違うスタイルになるし、自分にも合うと思った」とコメント。実際にキム監督の思惑は大成功。ミニチュアの背景は画面にかつてない奥行きを生み出し、セルアニメの迫力あるキャラクターを際立たせている。
また山賀氏は「近年、韓流ブームだが『ワンダフルデイズ』はブームに乗って買ったものではない。アニメであれ、実写であれ、いい作品であればどこの国であるかは、関係ないと思っている。むしろどこの国のモノかわからないけど、『いい作品だ』と思って貰えれば本望。みなさんにも『ワンダフルデイズ』を観てもらいたい」とイベントを締めくくった。
ワンダフルデイズ公開劇場情報
■ゴールデンウィーク公開
アミューズCQN レイトショー
テアトル池袋 レイトショー
新潟・市民映画館 シネ・ウインド
■5月公開予定
テアトル梅田 レイトショー
順次全国各地で公開予定