Double Call 1
1
入ったあ-----っ
打球はスコアボードを直撃!
秋吉のホームランで9回の表、メッツが3対2と逆転しました!オリオールズ土壇場でメッツ秋吉選手で逆転されました!!
打たれた堀田は静かにマウンドを降ります。
それにしても、今日も堀田は秋吉だけに打たれますね。東京メッツは3点共秋吉の打点ですよ!以前の様にぶつけなくなったと思ったら、これですからね、野木監督も頭が痛いでしょう!
堀田は秋吉に関して過剰なライバル意識を持ちすぎているんですね!肩が力入りすぎで、コントロールを乱れる、最悪のパタンですね!
塔馬:だからメッツ戦に堀田を登板させるなって言ったろ
上田さん、放送席の上田さん~~~
おっと秋吉城太郎選手のヒーローインタビューを準備ができたんのです。
秋吉選手、おめでとうございます、今日の堀田投手の投球は?
秋吉:くおらあーーっ堀田あーーっ、てめーもっと真面目に投げろっ!!俺をバカにしてんのかっっ
秋吉選手、落ち着いて!
秋吉:堀田、出で請い!!堀田~~堀田っ
秋吉さん、落ち着いて!
堀田:過剰なライバル意識か?!
塔馬:堀田、いつまでシャワー浴びてんだ、カゼひくぞ!!
堀田:塔馬さん?
塔馬:ああ!
堀田:俺のことなんかほっといてください!
塔馬:バカだな!いつまで考えたっておまえにはわかんねーよ!城さんに打たれる理由なんて~~
堀田:わかった様な事言わないでください!!
塔馬:わかってんだよ、俺は!!誰よりも痛い程~~
堀田:なら教えてください、どうして打たれるのか?
塔馬:後悔するぞ!
堀田:えっ?塔馬さん??はっ、うん~~ひっ
塔馬:おまえはこっちの人間なんだよ!惚れてるんだろ?城さんに~~だから負い目を感じてる!
堀田:違う!俺はーー
塔馬:それを認める事は誰だってつらいさ、だけど自分を騙し続けるのはもっとつらいぜ!
堀田:塔馬さん、もしかして~~
塔馬:俺がどうしてFA(フリー エージェント)でメッツを出たかわかるか?側にいるとたまんねーんだ!俺はおまえみたいに理性的じゃねーから、いつかあのひとを裏切りる様な事をやりかねねぇ!
堀田:塔馬さん
塔馬:全く罪な男だような秋吉城太郎ってのは、コブ付きやもめおやじのくせに!こんないい男二人もとりこにしちまうんだから
堀田:それじゃあ、ずっと見てたんですか?俺の事知ってて
塔馬:俺はキャッチャーだぜ,おまえの球を受けてるんだ、見たくなくても見えちまうさ!城さんがバッターボックスに立った時のお前の目、あんな切なそうな目でーーまともなボール投げられるわけねえだろ?だけどな、ヤツに惚れてるからって負い目なんか感じる事なんかねーんだ!それを取っ払うには時間がかかるかもしれないけど
堀田:じゃあ、今まで俺が抱いてきたのはーー恋愛感情だって言うんですか?!
塔馬:違うのか?認めるのは誰だってつらいさ!
2
えりこのプロ野球ニュース突撃インタビュー!
今日は女性からのリクエストが多い、清水オリオールズの堀田聖選手と千堂瀬人選手です!
こんにちは!
堀田:こんにちは!
千堂:どうも!
さって、さって、堀田選手と千堂選手に質問のハガキに一杯来てるんですよ!お二人の初恋について聞いてくださいっということなんですけど!
堀田:はっ、初恋?
ハガキを送ってくるのほとんどが女性ファンですから、こういうリクエストが多いんですよ!堀田選手の初恋はいつ頃ですか?
堀田:いっ、いきなり聞かれても困るよ!子供の頃は野球ばっかりしてたから、女の子とあそんだりしなかったしーー
でも、その人の事を考えただけで、胸が高鳴って、眠れなかったーなんて経験一つくらいあるでしょ?
堀田:胸が高鳴って、ですか?
はい!
堀田:しいて言えば、7歳の時、親父に連れられて行った甲子園球場で、初めて見た夏の高校野球かな、夜興奮して眠れなかった!
えっ??!!それが初恋?なんだか誤魔化されちゃった気がしますけど、堀田投手にとっては野球は恋人ってわけですね!全国の女性ファンのみなさん、これはなかなか手強い恋敵ですよ!!では、千堂選手の初恋は?
千堂:俺ですか?
はい、私個人としても、大変興味があるんですが。
千堂:幼稚園の頃、一番上の兄に
えっ??お兄さんに初恋!!千堂選手お冗談上手ですね!それで、本当のところでどうなんです?
千堂:冗談じゃないって!兄は野球うまかったから!
そういう意味ですか!!吃驚した!!
堀田:17年前の夏の甲子園~~~
打った!秋吉城太郎選手ホームランです!!ああ、秋吉君はまだ1年なのに四番打者ですからね!今度は楽しみの選手ですよ!
堀田:俺の心をとらえて放さない選手がいた、16歳の秋吉城太郎!!彼に憧れて、彼の試合の日を指折り数えてきた。あれは俺の初恋だと言うのか、
塔馬:惚れてるんだろう?城さんに~~
堀田:そんなことがあるんだろうかーー憧れが恋に変わる様なことが、あるんだろうか?
3
ゲームセット!!3対0で、オリオールズが勝ちました!!今日は絶好調の堀田、完封勝利です!
千堂:堀田さん!
堀田:千堂?!
千堂:今日は調子がよかったみたいですね!
堀田:あ
千堂:次のメッツ戦もこの調子で投げて欲しいもんだけどね!なんなら、秋吉選手の時だけ俺が投げるでしょか?
堀田:千堂!それはどういう??
塔馬:よおっ!!メッツ戦以外なら絶好調男!!
堀田:塔馬さん!
千堂:じゃ、お先に!
堀田:千堂――
千堂:お疲れ様でした!
塔馬:お!お疲れ様!!千堂に何か言われたんのですか??
堀田:えっ、いいえ、別に
塔馬:そうか!だったらいいなあ!!なあ、メッツ戦以外絶好調男!
堀田:何度も嫌味言わないてくださいよ!!
塔馬:ははっ、悪い悪い!!それより、今日暇か?
堀田:別に予定はないです
塔馬:飲みに行こうぜ!奢ってやるから
堀田:えっ?でもーー
塔馬:心配すんな、下心なんかねーよ!
堀田:そ、そんなつもりじゃ
塔馬:じゃあ決まりな、用意ができたら、車呼んどいてくれよ!
店で
いらっしゃいませ!
塔馬:じゃんじゃん飲むよ!!
秋吉:よお、遅かったなあ塔馬!
堀田:なっ!!
秋吉:なんだ、後ろにいるの堀田、塔馬おまえ奢ってやるとかなんとかいって、何かたくらんでやがるな!
塔馬:人間きの悪い事言わないでくださいよ!城さん、何もありませんよ!たまたま時間あいてるって言うなら、連れて来たんですよ、なっ堀田!!
堀田:えーーええ、まあ
塔馬:城さん、仕事の事は忘れて飲みましょうよ!はい、乾杯!!
秋吉:乾杯!!
塔馬:城さん、今日の試合又ホームランですって
秋吉:あ、でもおまえも今日の試合、好調だとそうじゃないか?!
塔馬:城さんに比べたら、まだまだですよ!
秋吉:どうしたんだ??今日はやけに大人しいなあ、おまえのお隣さんはーー
塔馬:そんなことないっすよ!何やってんだ堀田!ほら、おまえも飲め!!
堀田:塔馬さん!
塔馬:ささ、城さんもどうぞ!
秋吉:あ、今日はおまえの奢りだなあ!存分に飲ませてもらおう!はっ
塔馬:程々にしといてくださいよ!!
秋吉:いやいや
塔馬:ははは!!
秋吉さん酔っ払て寝た。
塔馬:おーーよく寝てる、よく寝てる!
堀田:起こさなくていいですか?
塔馬:起こしたって起きねーよ!いつもの事だしな、じゃ、そろそろ帰るか?
堀田:はい
塔馬:堀田、おまえこのおやじ送ってけ
堀田:えっ??塔馬さん、もういいです、あなた優し過ぎるんだ、やさし過ぎて自分で自分を傷付けてる。なんでもないって顔してるんけどーー平気なわけないでしょう
塔馬:俺はなーー堀田、とっくの昔にこの人から逃げ出してるんだ、もう終わってんだよ、俺は~~だけどおまえには俺みたいな想いをさせたくない、それだけなんだよ!
堀田:わかりました、俺、送ってきます!塔馬さん、ありがとう!!
塔馬:頑張れよ!!
堀田:えーーと、確かこの辺に、あ、あった!!それにしてもこんなベロベロじゃ、俺が送って来た事も覚えてないよなーー
秋吉:ん?堀田――
堀田:えっ??
秋吉:おまえどーーして、俺にだけノーコンなんだ?
堀田:秋吉さんーーー
秋吉:ほら、鍵
堀田:今日誰もいないんですか?
秋吉:いないよーー一人息子の藍は春に家、出てしまったしな
堀田:布団敷きますから、待っててください!
秋吉:なあ堀田、わざとじゃないのはわかったんだぞ、でも、なんであんなに乱れるんだ、大学生の頃、あの挑む目で俺に投げた時の事、思いだせよ!
堀田:覚えててくれてたんですか?!あの時の事
(秋吉:もう一回投げてみよう!!
堀田:はい)
堀田:一度きりの偶然だった、ほんの気まぐれで、メッツの選手が俺達の相手をしてくれた。秋吉さんに投げた、たった一球があんなにも重かったのは、全ての想いをその一球に込めたから、あの時憧れは恋に変わった。俺の想いは空の彼方へ飛ばされてしまったけれど、嬉しかった。嬉しくて嬉しくて仕方なかった!秋吉さんーー俺、あなたが好きです!!
秋吉まだ酔っ払い
堀田:そう簡単には受け止めてもれえそうにないな、だけどいつかあなたに投げ勝てみせます、きっと!!