老调重弹一下
2008年01月16日
ところが、初めて乃絵が登場するカットが繰り返し流されるたびに、僕の頭の中で大変なことが起こったのです。この日、既に脚本は終了していましたから、最終話までのストーリーを知っていた僕は、枝に腰掛ける乃絵に向かってカメラがゆっくりと見上げる間、あのストリングスの美しくも切ない音楽に記憶と感情が揺さぶられ、光を背にした乃絵の、まだ自分の未来を知らないあのイノセントな笑顔を見るたびに、これから彼女が飲み込まれてゆく精神的な試練の大きなうねりの中で、最後まで自分の足で踏ん張って立ち続ける姿が、深く心に迫ってきたのです。
もちろん、その後の展開をまだご存知ないみなさんに、あの曲が何をもたらしたかは分らないですけど、最終話まで見終わった後に第1話の乃絵の笑顔を見返してもらえたら、僕の感慨も何となく解ってもらえるんじゃないかなぁ。
P.A.WORKS 堀川憲司