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96主演电影（又是演员）

オペラの千両役者、ドミンゴが主演するメットの『サムソンとデリラ』

2000年11月22日
　テノールのスーパースター、プラシド・ドミンゴの名前は「3大テノール・コンサート」で見たことがある人もいるかも知れないが、あれはドミンゴのこれまでの名舞台に比べたら余興みたいなものである。しかし今回はドミンゴの得意中の得意のサムソン役をメトロポリタン・オペラ（通称メット）来日公演で歌うのだから、期待度は満点。とにかくホンモノのオペラの舞台での彼の存在感は凄い。もう30年以上歌っているから、あの声が輝いていられるのもあと数年かもしれない。このチャンスは貴重である。

　また、相手役のデリラを歌うダブルキャストの片方、オリガ・ボロディナは、世界的にもいま最も素晴らしいメゾソプラノの一人で、デリラのような妖艶な役にはぴったりの、びろうどのように緻密な声を持っているので注目だ。

　メトロポリタン・オペラは、他のオペラハウスに比べて絢爛豪華さで比類がないだけでなく、音楽的にもいまが最高潮の時代を迎えている。なぜなら、海千山千のキャリアを持つ名指揮者で芸術監督のジェイムズ・レヴァイン（ディズニーの映画『ファンタジア2000』でミッキーマウスとも共演した）は、すでに29年もメトロポリタン・オペラを指揮し続けていて、オーケストラとの関係は最高に成熟した段階に達している。

『動物の謝肉祭』で知られるフランスの大作曲家サン＝サーンス（1835～1921）の傑作オペラ『サムソンとデリラ』は、旧約聖書を元にした話で、ヘブライの民衆を率いる純情な指導者で神に祝福された無類の力持ち青年サムソンを、支配者の娘デリラが誘惑してたぶらかし、弱点である髪の毛を切って無力化するが、再び生えてきた髪によって力を取り戻し、神殿の柱をへし折って最後は全員もろとも大崩壊して幕、という非常にわかりやすい大スペクタクルである。とにかく音楽が良く書けていて、甘美な情緒からグロテスクな悪の描写、エロティックな熱狂まで、エンターテインメントとしてこれほど良く仕上がったオペラも珍しい。

　そして、今回見逃せないのが『ライオンキング』でも絶賛されたリチャード・ハドソンの原色感覚鋭い舞台装置。プリミティヴな神話の世界が最高の音楽とともに満喫できるに違いない。