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ライナーノーツ〔圭〕富士見二丁目交響楽団シリーズ外伝

楼层直达
级别: 精灵王
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2003-05-30
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3081
===============写在正文的前面的东西===================================
1)OCR by dracula04
2)虽然暂时无翻译,但也请勿随意转载至其他论坛,OCR也是很辛苦的- -|
3)本文只发布于漫游音乐区/声优及广播剧讨论专版
4)主要还是希望自己放假了别光玩来着,要努力务正业啊

内容:ドラマCDに収録の小説を集めた「圭」バージョン。
ライナー・ノーツは二人がお互いをいかに大切に思っているか・・・ラブラブでごちそうさまな話。

翻译应该是会有的……正抓人中~找不到人只好自己来了||
===============正文===================================================
ライナー・ノーツ〔圭〕富士見二丁目交響楽団シリーズ外伝
秋月こお

目 次
007 桐ノ院圭のこと(守村悠季)       
010 名曲思い出アルバム          
013 歌劇《タソホイザー》序曲 《フィソラソディア》      
028 親愛なる守村悠季兄へ          
033 男の闘い              
080 怖い話               
088 曲目解説 歌劇《さまよえるオランダ人》《美しく青きドナウ》
092 レッツ・デート!           
004 圭、その人に会う
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表紙・本文イラスト西炯子
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桐ノ院 圭 Kei Tounoin

1990年、東京芸術大学音楽学部指揮科に入学。翌年中退して渡欧し、ウィーンとベルリンを中心に武者修行に励む。
93年に帰国し、MHK交響楽団のアシスタント指揮者に就任。また富士見市民交響楽団の常任指揮者も務める。96年1月のM響定期公演において急病のベッケルマイヤーの代振りとして本拠地デビューし、大成功を収める。
ヘルベルト・フォソ・カラヤソ、南郷忠大、フリードリヒ・キルヒナーの各氏に師事。
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桐ノ院圭のこと

桐ノ院圭はマイペースである。何をするにも、彼には彼の厳然としたテンポとリズムがあって、それは彼の振りとおなじく、まわりに合わせて変わったり、影響されて狂ったりすることはない。
桐ノ院圭は頑固である。めったに口にまでは出さないが、彼がこうと決めたことは動かさない人間なのは、彼を知っている誰もがわかっていることだろう。もっとも、そもそもあのポーカーフェイスに見下ろされつつも、彼に論戦を挑めるような強者は、僕の知っているかぎりでは多くはないのだが。
桐ノ院圭は心優しいロマソチストである。彼の指揮が振り出す音を聴けば、あなたもそう思うはずだ。そして、そうした印象は間違っていない。彼はたいへんなロマソチストなので、頑固にマイペースに自分の美学にこだわるのだ。
桐ノ院圭というのは、そういう男である。
守村悠季
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名曲思い出アルバム        桐ノ院圭

歌劇《タソホイザー》序曲

楽劇四部作《ニしヘルソグの指環》という空前絶後の超大作を残したワーグナーが、この《タソホイザー》を作曲したのは、一八四二千四五年にかけて。おなじくロマン的歌劇といわれる言ーエソグリソ》や《トリスクソとイゾルデ》とは作曲時期も近く、また題材もドイツ古来の騎士道伝説をモチーフとしているという一貫性かある。
僕が歌劇に目覚めたのは、じつは、大掌中週後にベルリソに留学してからだった。それまで歌劇を知らなかったという意味では無論ない。ただ僕は、歌劇を楽曲の集合として聴いていて、それが音楽を表現主体とはしていても、内容的には確固とした物語のある劇であるということに気づいていなかったのだ。
これは、アリアを聴いても歌詞の理解ができなかったという、僕の語学力にも一因があるが、最大の原因は、『音」だけに興味を持って音楽芸術の真の幅の広さを理解していなかった、僕の偏向性にあった。
うまく言葉にできないが、歌劇の真相に目覚める前の僕にとっては、歌詞は必要なかったのだ。それはアリアという音の流れを形成する一部にしか過ぎず、意味があろうとなかろうと、僕には関係なかったのである。
しかし、ベルリソ留学でドイツ語にも習然したころに、バイロイトでめぐり合った《タンホイザー》は、それまでおぼろに思い込んでいた単なる悲恋物語などではなく、僕にとっては衝撃的な内容をはらんだ物語だった。
禁断の恋と絶対の道徳観のあいだで悩み、迷った自分に絶望し、神=道徳を捨てて恋を選ぼうと決意しながら、結局は果たせなかったタソホイザーという不幸な男の軌跡は、僕自身の未来を予言するかのように思えたのだ。
だから僕は《タソホイザー》を聴く。自身の価値観に迷いを生じた時、人はどんな末路をたどることになるのかを忘れないために。
僕にとっての(タソホイザー)は、歌劇というジャソルの正しいとらえ方を教えてくれた作品であると同時に、いったん選び取ったからには絶対に迷ってはならない人生の、戒めという名の指針なのである。

《フィソラソディア》

ウィーソ遊学時代の恩師であるマエストロ・キルヒナーのお嬢さんからの、 『父親が病に倒れた。不治のものかもしれず、ケイに会いたがっている。近いうちに顔を見せてもらうわけにはいかないだろうか』
そんな内容のエアメイルか、成城にある実家経由で桐ノ院圭の手に届いたのは、圭が富士見二丁目交響楽団の常任指揮者に就任してから二か月半ほどがたった、七月も未の頃だった。
受け取って、圭は迷った。
キルヒナー師は「ウィーンにいるかぎり、私を父と思って頼ってほしい」と赤ら顔をほほえませ、実際に息子あつかいのあたたかさでなにくれとなく面倒を見てくれた、圭にとっては恩も親しみもひとしおに感じている人物だ。
が、その愛娘のマリア・キルヒナーは:・・・・
艶やかなアルトに恵まれた才能あるオペラ歌手で、美人で聡明で社交界の花。圭にワルツを教授してくれたのは彼女だった。そして春の祝祭の日、花で飾られたメイボールのかたわらでの「恋におちた」という告白で圭を困惑させ、「結婚したい」という申し出で圭に滞在期間を切り上げさせたのも。
むろん、キルヒナー邸を去る前に、貴女の望みには添えないというケリはつけてきた。だがマリアは、オーストリアを代表する女性であるマリア・テレジア……かのマリー・アソトワネットの母親にしてヨーロッパ史上骨付の女傑とおなじ名前を持ち、圭の見るところでは、気質をも受け継いだ女性だった。
「貴女を恋人として愛すことはできない」と断言した圭に、「年上だから? でも私はあなたを愛してるし、あきらめるつもりはないわ」と肩をそびやかした。女は愛せない性癖なのだという告白にも動じなかった。
結局、圭のほうが逃げ出すしかなくて、まだ未練は多々あったウィーソをあとにするザマに追い込まれた。
そんなマリアからの、手紙。
だから、それがマリアだけからの物だったなら、破り捨てて終わりにしていただろう。
しかしエアメイルには、キルヒナー夫人からの手紙も同封されていた。
『なつかしいケイヘ』という書き出しの、控え目ではあったがキルヒナー師の不調にも言及して、『機会があるならぜひ訪ねてほしい』と結んであった夫人のみじかい手紙は、もしそれもマリアの作戦の産物ならば、見事な謀略の小道具と言えた。
そして国際電話を使った瀬踏みの成果は、キルヒナー師が『病気療養のため音楽活動を停止している』という事実のみ。
結果として圭は、片恋の思い人守村悠季への再チャレンジ中の舞台であるフジミが夏休みに人った、八月七日のチケットを取って、ウィーンに飛ばざるを得ないハメになった。
オーストリア共和国の首都……というより音楽の都と言ったほうがピンと来る。ウィーンは、一年前の五月に後ろ髪を引かれる思いであとにしたときと比べて、変わっているのは季節が織りなす様相だけだった。
音楽の都の中枢である旧市街をぐるりと囲むリンク通りからほど近い、オぺラ座が目と鼻の先というキルヒナー邸ではゾフミア夫人が銀の盆に山盛りのケーキやトルテを用意して、圭の到着を待ちかまえていた。
「ああ、ケイーなんて嬉しいんでしよう。もっと早く知らせてくれていたら、マリアも出かけたりしなかったのに。あなたったら、空港に着いてから電話してくるんですもの」
「すみませんニフミア。それで、マエストロのお加減は?」
夫人の話では、長年ためこんだ脂肪のおかげで心臓かかるい狭心症の発作を起こしたので、シしスソオフに人っていたのを幸いに、休養も兼ねた入院をしているということだった。
場所は、市内からバスで一時間ほどの温泉地の病院。夫人には、このチャソスを利用してホイリゲ(居酒屋)とのつき合いを減らさせようという意図もあるらしかった。
ともかく、マリアの手紙にあった「不治の病かもしれない」ようすは、夫人の話にも表情にも現れていなかった。
二つは食べなくてはならないのがこの家のルールの、甘くてボリュームたっぷりのケーキを、コーヒーの助けでどうにか胃におさめて、パしテソの病院に向かった。
マエストロ・キルヒナーは、病室を訪れた圭を、ベッドから飛び出して「ケ~イ!」と抱きしめ、「会いたかったよ‐」とホイリゲでのアームレスリソグ・チャンピオンの腕で締め上げた。
「どうしたんだね、バカソスか?そうか、いやァ寄ってくれて嬉しいよ」
笑顔も色つやも元気はつらつ。
「ニッポンでの仕事はどうだ、ん? いやいや、顔を見ればわかるよ。実りある日々を送っているんだね。だが、小さな悩みはある。どうだね?図星かね?あっはは、よしよし、聞こうじゃないか。わたしは小さな悩みの相談に乗るのは得意なんだ」
 世話好きの好人物は、長年のケーキの食べ過ぎとワインの飲み過ぎが作った問題をかかえている以外は、いたって健康そうだった。
 ……やはり、マリアの手紙は策謀だったのだ。
 だから、圭がその夜キルヒナ‐邸の客として過ごしたのは、それが夫人のたっての希望だったから。母娘二人の晩餐に愛想よくつき合い、請われるままに久しぶりのピアノと向かい合ったのも。《愛の挨拶》を弾いたのも、夫人のリクエストだったからだ。
 そんな圭を、マリアは、結婚が決まっている娘らしい控えめさでもてなし、だが、その目の奥には不穏な熱をこもらせていた。
ここにいた半年間、自室として使わせてもらっていた客間の、勝手知ったる影印で、時差のある旅の……というより入づき合いの疲れを癒して。そのまま寝るつもりのバスローブ姿で、明かりを落とした部屋を横切って。ヘッドに入りかけて、圭はギョッとした。
 まさかの先客は-マリア。
 「なにをしているんです」
 思いきり冷ややかに作った声音と非難以外の意味はふくめない口調で言ってやった。
 マリアはガバと抱きついてきた。薄化粧と香水だけがよそおいという姿で。
 「一度だけでいいの1・」
 熱い吐息が、圭の耳元で激しく囁いた。
 「おねがい、わたしに恥をかかせないで。抱いて!」
「僕が女性には興味のない男だというのは、はっきり申し上げてあ ったと思いますが」
 「愛してほしいなんて言ってないわ。だからョハンのプフポーズを受けた。でも一度だけ……一度だけでいいから、あなたを愛させて ほしいの!身体だけでいいから、あなたを愛させてほしいの! おねがい、ケイー」
  マリア・キルヒナーは、圭にとっては年上とはいえ、まだ花の盛 り。また歌い手の声だけでなく容姿も重視したカラヤソのオペラに も、充分出演できただろう。そんな女性の、ふくよかな乳房もなめらかな太腿も惜し気もなくあらわしての懇願に、無くならずに済む男がいるだろうか。
  いるはずがない、とマリアは思っていた。
  ………が、どんな事例にも千分の三は存在するという例外の法則は、実在した。
 みずからを据え膳としてさしだした美女の指を「失礼」と解きはずした男が、それ。
 なおも取りすがろうとした白い手を、圭は冷酷な一瞥で振り払った。
 「僕のすべては、身も心も、すでにある人に捧げてしまっている。貴女の希望には添えません」
 「でも……その人は殿方なのでしよう?だから、わたし、あなたの子供を産んであげるわ。いえ、産ませて。あなたの子供を」
 その瞬間、圭はマリアの知らない男に更新した。無愛想だがハソサムで神秘的な魅力の持ち主であるケイ・トウノイソではない、身も凍るような悔いと痛みを与える何者かに。
 その痛みが、圭の目の中を走った彼の心の激痛を感じ取ったもの であると気づいて、マリアは青ざめた。
 「よけいなことです」
 冷たく静かに言いきって、若者はマリアに背を向けた。
 「出ておいきなさい、レディ・マリア」
 泣いてもわめいてもむだだと、マリアは悟った。
 わたしは彼のアキレスの更けピンを突き剌してしまった。もう友情すら残らない。
 絶望と後悔からこみ上げる涙と闘いながら、それでもしゃんと頭をあげて出て行く彼女の後ろ姿を、圭は、固い表情で見送った。
 それから、ため息で肩のこわばりを振り払って、廊下に出た。居間の棚にあるはずの師秘蔵のブラソデーの助けでも借りなければ、不愉快で眠れそうになかったので。
翌日、ヘルシソキ空港に長身の若い東洋人が降り立った。旅慣れたようすの若者は鉄道駅でラッペーソラソタ行きの切符を買った。
 それからの一週間、(カレワラ伝承の地》カレリア観光のガイドを務めるハソセソは、毎日どこかでおなじ東洋人の姿を見かけた。
 湖を見下ろす高台で、若者は何かを待つふうにたたずみ、あるいは何者かを探すふうないら立った大股で森の中を逍遥していた。
  一週間目のその日。湖のほとりの公衆サウナで会った若者に、ハソセソは声をかけた。
 「フィソラソドを探しているのです」
 という若者の答えに、ハソセソは肩をすくめてみせた。
 「あんたが見てる湖も空も森も、全部フィソラソドだぜ。夏の、だ
がね]
 「……ああ」
と若者はかすかにほほえんだ。
 「そうですね……」と目を閉じた。
 ややあって、若者の唇から《フィソラソディア)の一節が流れ出した。
 「へえ、あんた、犬ヘリウスを勉強してるのかい」
 会話を続けるつもりで言ったハソセソは、無視された。……というより、ハミングをうなりながら指揮者の手ぶりで指を振っている若者には、聞こえなかったらしい。
 「ふうん………あんた、音楽家かい」
 ひとりごとの意味しかないセリフでおしゃべりにカタをつけて、ハソセソは蒸し焼き小屋を出た。そろそろ水風呂に移動するべき時間だった。
灼熱の横恋慕への清算をすませ、清涼の地での《フィソラソディア》の研究を兼ねた気分転換を果たして、酷暑の富士見町に帰ってきた圭を迎えたのは、自宅前で半死半生の避難をしていた片恋の相手の「待ってた……」というつぶやきだった。
 駆け寄って、かき抱いた。
 旅のあいだもなにかにつけて胸を騒がせていた愛しい想い人は、圭に、やっとのことでオアシスに出会えた旅人のほほえみを寄越し、すべてを圭に託して気を失った。
 「守村さん?守村さんり気をしっかり持って!すぐですから!すぐ医者を呼んであげますからね、しっかりしてください!」
 死に神の腕からひったくる勢いで抱き上げた身体の、正体をなくした重みを意識する余裕もなく、あたふたと鍵をあけにかかった圭の脳裏からは、マリア・キルヒナーの面影もジベリウスの愛した国土の印象も、きれいさっぱりと消し飛んでいた。
 マリアの申し出が心に残していた傷も。
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2004.07.02
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只看该作者 1楼 发表于: 2004-07-03
男の闘い

発端は、高嶺のからかいだった。
「ストローボーイ、おまえ、まァだドーデーなんだろう」むさくるしい無精ひげ面でニヤニヤと言われて、圭はムッと目を細めた。
十六歳で一八二センチ、六一キフの彼は、高嶺が勝手に進呈してくれた『ストローボーイ』というあだ名は大嫌いだったので。
だが高嶺は、圭がムッとしたのはドーテーの図星を指されたからだと誤解した。
「ラバーってなァいいもんだぜェ。おめェもそろそろ一人ぐれェめっけろや」言った高嶺の手は、ひざの上に座らせた女の胸の、グレープフルーツほどもあるふくらみをいじくっている。
ショッキングピンクのタンクトップにサイケデリックなパープルのジョギングパンツという格好のブフソド女は、人目も気にせず高嶺に胸をいじらせながら、クスクス笑ったりアソッと唇をかんでみせたりしている。
ビリヤード台にゲーム機に、タバコの煙、安酒と安料理の臭い。ジュークボックスが垂れ流しているファソキーなジャズ。
そんなチープな店のテーブルに陣取って、高嶺はゴモラの王を気取っているらしいが、圭の目から見るとただのゴロツキの首領というところだ。
「ねェん、タカネ~ェ、二人きりのところへ行こうよォ」
女がいやらしい甘ったれ声を出した。
「なんだよ、乳もんだだけでもうイクのか」
「スケベ。おっぱいだけじゃイケないから、行こうって言ってんのォ」当人はコケットのつもりなのだろうが、圭の目にはただ下品としか映らない笑いを浮かべて、女は高嶺の頬に頬をすりつけた。
「もう、いつまでしらすのさァ。なんならボーヤも一緒でもいいから、ね?」
ケッケッケッと高嶺が笑った。
「そりゃァいいや。俺とおまえでじっくり教育してやるかん?」
「しよ、しよ、ねェソ」
 圭はムッと眉を引き攣らせた。
 「僕ならばけっこう」女を……それも下等の娼婦などを抱かされるいわれなどない。
 だがこれまた高嶺は誤解したらしく、ニヤニヤしながら言った。
 「取って食おうってわけじゃねェや、なあ、ロージー?」
 「あらァ、上と下から食べさせてくれるんじゃないのォ?」
 「下の口にャァ二本まとめてじゃねェと足りねェんじゃねェのか?
 「言ったわね~!なんならバナナみたいに咬み切ってあげようかア?」
 圭はすっくと立ち上がっち高嶺の下品さについては二年前にあぎらめているが、下品な女を我慢してやる理由はない。
 「なんだよ、逃げンのか、ストローボーイ」
 圭は、まだ男のたくましさは手に入れられていない細面の美貌を、完全な無表情に沈ませた。


 「ああ、逃げさせていただく。僕はこういった女性とつき合う趣味はない」
 「ふふん」
 女が鼻で笑った。
 「ストリートガールがお相手しようなんて、ちゃんちゃらおかしいってわけ?イエロープリソス」
 こんな女と言葉を交わす気はない。
 圭は無視して立ち去ろうとした。
 「まァだフアックも知らねェガキが意気がるんじゃねェよ」
 高嶺のせせら笑い調のセリフに、くるっと振り向いた。
 「あいにくと、相手には困っていない。では失礼」
 だが、高嶺がたたみかけてきた。
 「相手には困ってねェだって?しょんべん臭ェメイドでも引っかけてあるってかよ」
 「あ、いやン、ぽっちゃま、そんなとこだめェん」
 女が尻馬に乗った。
 「だめと言うのはここのことデスカ?なるほど、びしょびしょに泣いてマス」
 「いやァん、それはョ・ダ・レ」
 「ギヤハハハハハハハ!」
 圭はうんざりして二人に背中を向けた。
 なぜこの男は、あれほどのピアノの腕を持ちながら、これほど徹底的に品が悪いのか!
 「おい、待てよ、ストローボーイ」
 「そのあだ名は不愉快だと、以前にも言ったはずです!」
 思わず怒鳴り返して(しまった)と思ったが、後の祭りだった。


 「じゃあ、ボーイじゃねェことを証明してみせろや、ストローボーイ」
 高嶺がそんなことを言い出した。
 「男の値打もっていやァ、何人のラバーにモテてるかってこった。比べてみようぜ」
 「きみは恋人を数でこなすのか?」
 「数もこなぜねェで男って言えるかよ」
 「あははっ、タカネは五人ぐらいならカルク満足させちゃうもんねェ」
 「まあ、三人つれてこられたら、一人前って認めてやるよ」
 「それは、無礼な呼び方は以後しないということか?」
 「ああ、そいでもいいや。明日の夜、この店でこの時間だ」
 「あ、あしたはダメ! クレアのバースディパーティーだもん」「だったか。ンじゃ、あさってだ」
 うなずいて、圭は店を出た。
 二年ぶりのニューヨークに来て、三日目。マム・マリアの顔を見に行ったら高嶺につかまって、いかにも場末のバーでつまらない女を見せびらかされて、あげくにこれだ。
 われながらくだらない約束を作ってしまったものだと思ったが、挑戦には勝たなくてはならなかった。
 クカネ・イクシマというジャズピアニストの頭の中身は、弱肉強食のフロンティアワールドに住んでいる。勝つか負けるか、自分より強いか弱いか、そうしたデジタルな判断基準しか持っていない男なのだ。
 だから、たとえ恋人の人数比べなどというくだらない勝負でも、こちらが負ければ高嶺はかさにかかってくる。それがどういうことかといえば、例の不愉快なあだ名で呼ばれ、からかわれ続けるとい うことだ。
 圭には我慢のならないことだった。
 それにしても……
 「恋人か。ふん」
 じつは今回はその件で、「二か月ばかり頭を冷やしてこい」とこちらに追い出されてきた。圭にもそれなりの反省ともくろみがあったので、おとなしく追放されてきた。
 もちろん、ただで渡米させるような父ではなく、在米中の課題として「アメリカの金融業界を研究してレポートにしろ」という命令をもらっていたが、そんな勉強はやってもやらなくても、二か月役に呼び戻されるのは確かだ。
 父が圭を渡米させたのは、たんに事件のほとぼりを冷ますためなのだから。
 ホテルヘ帰る道筋の、プレイガイドの前を通り過ぎようとして、『KARAJANN』という文字を見つけた。
 ベルリン・フィルを率いてのカーネギー公演のポスターだった。
 圭はすたすたと窓口に近づいた。
「グードゥイブニン、ミス」
「ハ~イ」
「このカラヤソのチケットはありますか?」
「今夜の? いい席は終わってるけど」
「立ち見でもけっこう」
「二枚?」
「えー、はい」
「三〇ドル」


「二枚で? では、これで」
圭が手渡したー〇〇ドル札を、女はすばやく机の下にさらい込んだ。つりを渡してきながら言った。
「ジャパニーズ?」
「イエス」
「旅行者ね?現金はあまり持って歩かないほうがいいわ」
「知っています。ありがとう」
「どういたしまして」
 一瞬、予定はなしに買ったチケットの一枚を彼女に差し出してみようかと思ったが、すぐに思い直した。
もう女はほとほとこりごりではないか。
開演時間まではまだ時間があったが、ホテルで待っている目付役への連絡は電話で充分だ。圭はカーネギーホールに向かって歩き出した。
その男がゲイである保証はどこにもなかったか、持ちかけてことわられた場合のリスクもなかったので、圭は迷わず声をかけた。
「失礼、待ち合わせですか?」
自由主義だが内部には厳然とした階級か存在するアメリカという国の、ハイソサエディに属する人間なのが歴然とした男は、突然話しかけてきた東洋人の少年にも戸惑ったそぶりは見せずに、「いえ」と首を振った。
「お時間がおありで、天井桟敷に近い席でよろしければ、チケットが一枚あまっているのですが』
圭はそう切り出した。
「時間はあるし、僕の寄ったビューローではSOLDOUTになっていた」
三十代後半という感じの品よくハンサムな男は、そう答えて、スーツの内ポケットに手を入れようとした。
「いえ、ミスター。チケットを売りたいのではなく、お誘いしたいのです」
圭のセリフに男はかるく眉をひそめた。
「公演が終わった後でけっこうですので、五分ほど時間をいただきたい」
「前にどこかでお会いしていましたか?」
「いえ」
「用件を先にうかがってはいけない?」
「僕はかまいませんが」
「では、ペイする内容を提示していただいた上で、チケットをもらうかどうか決めよう」
「当然の用心です」
そうヽうなずいた圭に、男は満足そうな色を浮かべた。
「用件は、明後日の午後五時から七時まで、僕の恋人になっていただけないかということです」
「………パードゥン?」
男は冷ややかな無表情になりながら聞き返してきた。圭はその顔色ですでに半分あきらめながら、提案をくり返した。
「明後日の夕方、二時間ほど、僕の恋人のふりをしていただきたいのです」
「あー……理由は?」
「友人と賭けをしました」
「僕に声をかけだのは?」
「見栄えのいい方ですので」
「それはどうも・:・:」
「OKしてくださるなら、あなたが僕の恋人第一号となります」
いつの間にか、男の冷ややかな無表情に興味の色が浮かび始めていた。
「では、何人か募集する予定なわけかい?」
「明後日の夕方までに集められるだけ]
「男の恋人を? 五人も十人も?」
「あー……」
圭は考えて、言った。
「そうですね。三人以上という賭けですが、彼の鼻をあかしてやるには五人……いや七人かな」
「それで、僕への見返りは今夜のチケットということだろうが、ほかの『恋人』たちはどうする気だね? たとえば、含みが声をかけた男が本物のゲイで、そういった見返りを要求されたら?」
圭は肩をすくめてみせた。
「僕はセックスはきらいなので、ことわります」
「ことわれなかったら?」
「あなたは僕を抱きたいのですか?」
男は一瞬うろたえた。
「ばかなっ。僕はゲイじゃないよ」
「失礼。それで、お返事は」
「ことわるのが常識だろうね」
「まあ、そうでしょう。では、これを」
圭は男にチケットを差し出した。
「いや、だから僕は」
あきらかに迷悪げな男の手に、チケットを握らせた。
「ええ、これは話を聞いてくださったお礼です。依頼の件については忘れてください。ありがとう、ミスター。さようなら」
二、三歩行きかけて、圭は言い忘れに気がついた。男を振り向いた。
「あー、ペアのチケットを買いましたので、僕と隣り合わせの席になりますが、気になさらずにベルリン・フィルを楽しんでください。
ちなみに今夜振るカーフヤンは、僕かもっとも尊敬するマエストロです」
「僕はトスカニー二が好きなんだが。カラヤンもまあ、オペラは悪くないけど」
その瞬間に圭が見せた、思わずといったぐあいの笑みが、動機だったようだ。
「スブィーブン・ブラウニーだ」
名乗って握手の手を差し出してやったブラウニーに、少年は一瞬だけ戸感ったようすを見せ、しかしすぐに右手を出してブラウニーの手を受けた。冷たくてまだ華奢な握り心地の手だった。
「ケイ・トウノイン、ジャパニーズです」
「よろしく、ミスタ・:トーウィン?」
「ケイでけっこうです、ミスター・ブラウニー」
「それで、男の恋人をエスコートする作法というのは、どうやるのかな」
言ってやったブラウニーに、東洋人の少年は、笑みなど見せてしまったことを後悔しているらしい顔で、無愛想に答えた。
「僕も知りません」
「では、僕ら流で行くか。歩調を揃えてェ、イチニ、イチニ」
クスッと少年が笑った。ただし、表情は崩さずに、目の色だけで。 (おもしろい)とブラウニーは思った。
大人相手にとっぴな相談を持ちかけてきた時の態度は、飾りけもはったりもふくまず堂々としていて、怖じけのかけらもなかった。
かなりの教養の持ち主らしいことからしても名門の出身だろう。
それでハタと思い出した。たったいま結んでしまった契約は、ブラウニーの属するソサエティでは通用するジョークではない。後顧の憂いを持ち越さないためにもひとひねりが必要そうだ。
だが、そう思った時には、すでに解決策を思いついていた。
そう、あの連中を巻き込めば一石二鳥……
「ミス・ケイ。」『恋人』の数は多いほうがいいんだな?」
「はい」
「では、僕のクラブ仲間に声をかけるというのはどうだろう。五番街のブルーシップ倶楽部のメソバーたちだが、退屈しのぎに目がないのが五、六人はいる」
「ご紹介いただけるなら、ありがたいですが……ご迷惑にはなりませんか」
それなりの社会常識は持っているセリフを言って、ケイは続けた。
「僕はゲイですので、誰にそう呼ばれようとかまわないのですが」
思わずブラウニーは立ち止まった。今の今まで、それもふくめてのジョークだと思っていたのだ。
「きみは:・:・ゲイなのか?」
「女性という人種を愛せないという意味でですが」
ケイはそれを、ひどく大人びた口調で言った。それから、ハリウッドの関係者が目にしたら、俳優のための表情の見本スチールを撮りに飛んで来そうな、いとも皮肉で冷ややかな笑みを作った。
「そういう人間は、必然的にゲイと呼ばれるほかはないようで。べつにかまいませんが」
スティーブン・ブラウニーには、神に誓って男色趣味はなかった。三十五歳で会社重役でもありながら独身なのは、たんに、二度目の結婚相手かまだ見つかっていないせいだ。
しかしその時のブラウニーは、むらむらとケイを抱き締めたくな っていて、そんな自分に歯止めをかける気さえなくしていた。
並んで歩いていた相手の前にすっとまわり込んで、トンとぶつかって来た身体を抱き締めた。身長はブラウニーよりも高いぐらいのケイは、抱き心地は姉のところの十四の甥っ子を思い出させた。
「きみはいくつだ?」
背中にまわした両腕で痩身を抱いたままでフラウニーはたずねた。
「十六です」という落ち着き払った声が返って来た。
だが、ケイの胸の中では動揺を教える鼓動が鳴っていた。
「失礼、欲情したわけじゃない」
ブラウニーは言ってやった。
「ただ、きみには、時にはこうして抱き締められることが必要なんじゃないかと思った。それだけだ」
ケイの答えは、
「あと十二分でコンサートが始まります」
だがその身体は、ブラウニーの腕を振りほどごうとはしなかった。もっとも、体重を預けてくるのでもなかったが。
こういったスキンシップは生まれて初めて経験するかのように、ケイは困惑し、棒立ちしていた。
そう……困惑しているのだ。この自立心にあふれ、それと同じていどに孤独らしい少年は、今はこの事態をどうさばいたらいいのかわからずに、硬直してしまっている。
(かわいい)とブラウニーは思った。ただ単純に、心底からそう思った。
だから、思いのだけを腕に込めてギュッと抱き締めて、愛され慣れていない少年を困惑から解放してやった。
「それじゃ、カラヤンが振るベルリン・フィルを聴きに行こうかね。彼の手にかかるとブラームスもベートーベソもまるで深みというものがなくなるので、チケットも買わなかったんだが」
「彼の演奏はそつがないだけで芸術性に乏しいといり批判がありますが、僕は、ひたいに縦じわを刻んで聴かないと理解できない『芸術』には疑問を感じます。
美しいものを美しく表現する以上の、何が必要なのか。ベートーベンは彼の苦しみを美しい楽曲に昇華した。僕らは、その浄化され昇華されたものをこそ受け取るべきで、その土壌となった悩み苦しみをわざわざ握り起こす必要などない。
あなたは化壇を前にして、花を見ますか? その花を咲かせた土や肥料のほうを気にしますか?
僕は、カラヤンの姿勢こそか正しいと思います。花は花として愛でるべきであって」
そこでケイは、いきなり演説をやめた。
「どうぞ続けて。興味ある話題だ」
言ってやったブラウニーに、
「ありがとう」
とは答えたが、それ以上は口をひらかなかった。
「きみは音楽家志望?」
ふと思いついて聞いてみた。
「はい」という返事は、間髪を入れないタイミングできっぱりと言われた。
「じゃあ、ジュリブードあたりの留学生か」
「いえ。父は僕を銀行家にしたがっている」
そしてケイは、生まれながらの陰謀家という韻でニヤリとしてみせた。
「僕はもちろん、僕が選んだ以外の人生を歩く気はありませんか」
開演五分前のインフォメーションを聞きつつ、なるほど天井桟敷もいいところの席に腰を下ろしながらでブラウニーは、隣のシートの少年をそっと見やった。
花を花として愛でる……か。たぶんその音楽観は、きみには無条件に愛でるような対象が必要だということなんだろうな。
そう、なんとなくわかるよ。きみは、雨か降り緑が芽生えるのを待ちわびている砂漠なんだ。渇かせるだけの太陽をいくつ抱えているのか知らないが、とにかくきみは、灼かれて渇き、救いを求めている。
だから僕にしたらスノップとしか評価できないカラヤンの演奏に、そんなにわくわくできるんだ。彼の通俗的な解釈には、きみがへきえきしている現実や人生の重みはあらわれて来ないから。美しいだけの音の流れに身を任す時間だけが、唯一きみか悩みを忘れていられるサンクチュアリだから。
でもきみは、自分の現実から逃げているばかりじゃないね。音楽家になろうっていうのは、そういうことだろう? きみは、誰かになぐさめられるのでは不満で、自分が必要とする『愛でるための花』は自分で咲かせようと願っている。実現する気でいる。
ブラボーなファイトだよ、ケイ。
なんともエキセントリックな顛末ではあるが、この出会いを、僕はラッキーとして数えよう。
まったく、僕の人生ってやつは、今まであまりにノーマルであり過ぎた。だからあんなにも退屈だったんだ。
長年垂れ込めていた霧が晴れたようないい気分を分かち合おうと、ブラウニーは隣の席のケイを見やった。
なんと、ケイは眠り込んでいた。
尊敬する指揮者の、理想とする演奏を、夢のBGMに使って。
だが……その寝顔は、まさに満たされきった安逸の表情を浮かべていて……
ンラウニーは、ヘルベルト・フォン・カラヤンという音楽家に猛烈な嫉妬を感じている自分を発見し、そんな自分に驚きつつも、ケイがひざの上で握り合わせている手の上に自分の手を重ねたいという誘惑に駆られ……実行した。
ンラウニーが手を載せても、ケイの手は何の反応もしめさなかったけれど……カラヤンが指揮するベルリン・フィルの演奏は、やはりそつがないとしか言いようがなく、ブラウニーもいつしかとろとろと眠ってしまっていたのだけれども:・:・それで充分なのだという思いが、居眠りを、ひどく心地よいものにしてくれた。
まるで母親の腕の中でまどろんでいるようなこの感覚を、否定する必要がどこにある?音楽とは、ミューズの腕に身を任せること。ならばこの眠りの心地よさは、ミューズの腕に抱かれてまどろむ心地よさであり、その恩恵の正しい受け取り方というわけだ……
ミスタ・カラヤン……あなたの音楽の聴き方がわかった。通俗的だろうが何だろうが、あなたの作り出す音は美しい。その美しさを愛でて、浸って、ハンカチの汚れをジャージャー洗い流すように、あれこれの澱をこびりつかせた心をリフレッシュさせればいいんだ
な? こうして居眠りしている今かこんなに心地よいってことは、そういうことなんだろう?
すくなくとも、僕とケイにとっては、そういうことだ。
でもそれは、凄いことじゃないかと思う、ミスタ・カラヤン。あなたは僕らに、最上級の安らぎを与えているわけなのだから。
願わくば、この至福の時間が、一秒でも長持ちしてくれんことを。
僕のためではないのです、ミューズ。おそらく僕より何倍も不幸で、しかし何倍も前向きな彼のために。現実との闘いをほんのしばらくでも休戦にさせてやれるこの時間を、どうか出来るだけ長く……
翌日の夜、七時。圭は、ンラウニーが電話で呼び集めておいてくれた彼のクランハウス仲間たちの前に立っていた。
ンラウニーが言って日いたンルーシップ倶楽部は、トッンビジネスマンたちが集まるイギリス式の社交クランのひとつだったが、圭にとっては、高嶺が属している世界よりはよほどなじめる場所だった。
ンラウニーは、まず圭をビリヤードテーブルに誘って、それとなく友人だちとの仲を取り持ってやり、それからポーカーを口実に、作戦会議には格好の小部屋をキーンした。
ンラウニしが選んだ六大の友人たちは、見込みどおり全員がりベラルな反応を見せた。
「恋人比べだって!? じつにくだらん!まったくもってくだらないが、おもしろい」
「エキセントリックでユニークで、シニカルなウィットを感じるね」
「どうだいスティーン、そのタカネとやらの一統をグリーンケイブあたりに招待してやるっていうのは」
「いや、それよりだな」
――かくして、作戦は開始された。
X-DAY、午後七時。
ダウンタウンの一郭にあるブラックミュージシャンたちの牙城「アンクルTOM’Sケビン』の前に、三白の高級車が横づけした。
車から降り立ったのは、七人の白人男性と東洋人の若者。
あまりにTPOを無視した一行のみじかいパレードを、目を丸くして見ていた売人のJBは、若者が自分の知り人なのに気づいた。
「ヘイ! あんた、ケイじゃねェかいり!?」
二年前に会った時には、まだ十四で、身長は自分とタイだった。
今は十六になってるはずで、東洋人のくせに自分よりトール。あいかわらず無表情で、だがそれは侮蔑や嫌悪の色も見せないということだ。
「こんばんは、JB」
ケイは礼儀正しくそう言った。
「俺の名前を覚えててくれたのかい!」
「ええ。麻薬ディーラーで高嶺のファン」
「おっと! やめてくれよ、ディーラーなんてほど派手に商売してるわけじやねェや。ちょいとって程度だぜ」
JBがあわててそう言いわけしたのは、ケイの連れの男たちの耳を警戒したためだ。
「ンで? 何か始まるんだい?」
「パーティーです」
ケイはそう答え、TOM’Sケビンのドアを押して入っていった。男たちも続いた。
一方、高嶺のほうは……
場所をライブハウスに変更してくれという申し入れを受けて、それなら八時から仕事の予定が入っているTOM’Sケビンに来いと言シードにバタフライマスクに、胸には赤いバラだァ!? ふざけるんじゃねェツ!
「おいっ」
と追い出しバトルのファンファーレを鳴らしかけたが、
「やあ、ミスタ・イクシマ!?」
「お招きありがとう!」
「会えてうれしいよ!」
たちまち取り囲んできたタキシードの男たちの、笑顔をそえた握手でもみくちゃに引きまわされて、目を剥いた。
テーブルにケイがいるのに気づいて、剥き出した目玉でにらみつけた。
「おい、なんだ、こいつらは!」
「僕の恋人たちだ」
ケイは落ち着き払ってそう答えた。
その横から、男たちの一人が口を添えた。
「マスクなどつけていて失礼。個人的な事情で匿名希望でね、あしからず」
「こっ……亦心太だァ?」
「今夜は七人しか来られなかったが、含みが言った条件はクリアした。以後、僕をストローボーイなどとは呼ばないでいただく」
「おま…え…、ゲイだったのかよ」
「彼らが男装の女性たちに見えるかな?」
「ハイソにャゲイなんざいねェはずだろ?]
「では、これはウソの茶番だとでも?」
しゃあしゃあと言い返した圭の横から、ブラウニーが口をはさんだ。
ってやって、いつもどおりの出演三十分前に、つき合いのある女だちを引き連れて店に入った。
なにやら異様な雰囲気が垂れ込めているのに気づいて、眉をひそめた。
その原因が、ステージの前の一番いいテーブルを占領しているタキシード姿の連中のせいだと気づいて、ずかずかと近づいた。
ここはいつから胸くモ悪いハイソ連中の遊び場になったり!? タキ「ミスタ・イクシマは、ポーカーに負けるとイカサマだとテーブル
をひっくり返すタイプなのかな?」
「いえ」
圭は言下に答えた。
「そんな男ではありませんよ、スティーブ」
「では、僕がきみにキスをして見せるていどで、僕らの関係を納得してもらえるだろうかね」
「不足だと言われても、僕はそれ以上のシーンまで見せるなどおことわりです」
「僕たちも、アノ時のきみを公開する気はないね。僕らの恋はシークレットジョイであるべきだ」
高嶺が驚いたことに、ケイはポッと目元を染めた。
「わかっています、スティーブ。僕はあなたたちに多大な迷惑を強要してしまった。 でも僕は、彼とは対等もしくはそれ以上の立場でいたいのです。タカネ・イクシマは、僕にとって最上級のライバルであり、ですから、どんなにくだらない賭けにさえ負けたくない」
これまたケイらしくない長広舌の弁解を聞きながら、高嶺は、さらに驚いていた。
ケイ・トウノインが他人に甘えてみせる!?
そしてさらに……
「ああ、わかってるさ、ケイ。だから僕らはこうしてシークレットのベールの陰から出てきた。愛するきみのたっての頼みをかなえてあげられるのは、うれしいことだしね」
歯が浮きそうなセリフをしゃべった男が、頭を抱き寄せ、唇に唇を重ねるのを、ケイは目を閉じて受け入れ……!
ディーンで長い、ラバーズでなければ交わさないキスを、ケイは、七人の男たち全員と愉しんで見せ……そう、心地よさそうに愉しんで見せ! しっとり濡らした唇で、高嶺に向かって言った。
「せっかくの機会なので、きみのピアンを聴かせてもらって帰ろうと思う」
ケイに最初にキスした男が、気障なしぐさでサービスカウンターのほうを手で指した。
そこには、ピラミッド型に積み上げられたンャンペングラスが、きらめきながらスタンバイしていて。
「気を悪くしないでもらえるなら、そちらのレデ″たちに飲み物を差し上げたい。もちろん、ほかのみなさんにも。
きみたちのホーミィなジョイタイムにくわわらせていただくお礼としてね」
男たちは、グラスにシャンパン、そしてボーイまで持ち込み持参したらしい。
高嶺の彼女たちや、店の半分にびっLり押し詰まった常運客たちの目の前で、ボーイは次々とシヤンパンの栓を抜き、抜いたシャン
パンをピラミッドのてっぺんのグラスに注いだ。もちろん、グラスはたちまちあふれ、黄金の液体は計算された滝となって次々とグラスを満たしていき……
こんな見ものは生まれて初めてのダウンタウンの住人たちは、息を飲んでその華麗なパフォーマンスに見入り、ため息を叶き出し、やがて誰からともなく拍手がわきおこった。
その中で圭が立ち上がり、サービスの終わったピラミッドに歩み寄って、頂上のグラスを用心深く手に取った。
客たちに向かって立った。
「こうしたやり方を快く思われない方もありそうなので、一言もうしあげます。
今夜の最初の乾杯は、よろしければ、以後高嶺にストローボーイとは呼ぱれないですむ僕にいただきたい。
たしかに僕は、このとおりひょろりとしていますが、麦わらといえば、空っぽで折れやすい。ゆえに僕は、このあだ名は気に障ってしかたがなく、高嶺の口をふさげた今夜は、ンャンパンでもおごりたい気分なのです。
なおヽこの贅沢のせいで滞在費をだいぶ使い込んでしまいましたので、安くて設備のいいアパートを紹介願えるならさいわいです」 笑い声と拍手の中を、高嶺の吠え声が響きわたった。
「しょーがねェから、今夜はタカビー小僧の酒で始めようぜ! 二秤目からはここの酒で口直しさせてやるからよ!」
「え!? あんたのおごりかい!?」
売人のJBのらしい声に、高嶺は荒っぽい造作の顔をひん曲げた。
「ばかやろう、金のある奴にタカるってのがここのやり方だろうがよ!」
「ギャハハハ、違ェねーや!」
「じゃ、パーティーをおっぱじめっぞ!」
「ヒューヒューッ!! レッンゴー!!」
ガンガン始まった高嶺の演奏をBGMに、シャンパンのピラミッドはたちまち跡形もなく消え、グラスを満たす液体はビールやウィスキーに取って代わられた。
タキシードの仮面紳士たちは、リズムな曲ではストリートガールたちにダンスを申し込み、心にしみるプルースにはじっと目を閉じて聞き人った。
まず混じり合うことはない二つの階級が、高嶺のジャズを接点にジョインルな時間を過ごしたこの夜のライブパーティーは、ダウンタウンの語り種となり―同時にミュージシャン「タカネ・イクシマ」の活動の場を広げることとなった。
恋人比べやキスの件は伏せたうえで、おもしろおかしく潤色した『TOM’Sケビンでの冒険』は、ンルーシッンのほかの会員たちや、七人の冒険者の友人たちの中でもジャズ好きの連中の耳をくすぐったのだ。
彼らは、「タカネの友人の友達だ」というIDヮードを教えられて、ダウンタウンヘと『凄いピアノ弾き』を聴きに行き、次の時にはりベラルな友人や勇気ある恋人を誘って出かけた。
治安の悪いダウンタウンにも、専用で効きめのいい法律があって、「タカネの友人」というパスは、問答無用で安全を保障してくれたので。
ただし、下層階級への差別意識でタカネをカチンと来させた連中は、それなりの報いを受けた。たとえば、帰ろうと思ったら車がボディーとシャーシだけになってころがっていたりとか、大人気なかった詫びに客の全員に酒をおごらされたりとか。
だが、ブラウ二ーたち七人はそんなヘマはやらなかったし、タカネも多少のミスは見逃してくれた。彼らは「ケイのラバーズ」なので。
そのケイが、二か月間の国外追放を終えて帰国するという前日。
ブラウニーは、ケイを誘ってタカネのピアノを聴きに出かけた。
「よう、元気にヤッテるか?」
ニヤニヤと言ってきたクカネに、ケイは、
「明日、帰国します」
とだけ言って席に着いた。
「そうか。じゃあ、帰りにちょいとマムに顔見せてけや。ロッシに送らせるから」
そしてタカネは鍵盤に手を置いたが……
「ムーンライトソナタじゃないかっ」
「驚いたな、二年前に教えた曲をまだ覚えていたのか」
ケイのつぶやきに、ブラウニーは二度驚いた。そしてさらに、タカネか全曲を弾き終えた時………ブラウニーは、この口汚い悪態を吐き散らす下品な男が、じつはミューズの寵児だったことを知った。
「驚いたね、彼はベートーベソを完全に理解している! フレージングのジャズ訛さえなければ、いずれカーネギーに出演できそうな才能じゃないかつ」
「スコアが読めるようになれば、あるいは」
ケイが冷ややかに言った。
次の週、ブラウニーは、ブラームスのピアノ曲を集めたカセットテープを、タカネにプレゼントした。
「カセットデッキなんざ持ってねこそうだったので、翌日、ポータブルデッキに仕込んだテープをプレゼソトし直した。
『恋人に去られた』寂しさを、タカネに入れ込むことで埋めたかったのかもしれない。  タカネは次の週、ブラウニーに、ピアノの弦を切りまくりながらのラプソディー二番を聴かせてくれた。
それまでに聴いていたプラームスがすべてこなごなに吹っ飛ぶような、おそらく彼の指以外には出し得ない音の洪水は、翌日まで残った耳鳴りが消えても、ブラウニーの心の中で鳴り響き続けた。
そして翌年、タカネ・イクシマは、ピアノクラッシャーの異名と共に、クラシック界に驚愕のデビューを果たし……
ケイと恋人たちの仲は、クリスマスカードの交換で細々とつなかっている。
たったのキスひとつの間柄では、座あ、そんなものだろう。
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2004.07.03
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只看该作者 2楼 发表于: 2004-07-08
这个是我家大人写的吧先生真是了不起

love Dandy,suning,海雅,马古http://our.163.com/clubs/showinfo.jsp?username=shaluoye,儚げな三ツ矢さんの「鳥???どこ?」にうっとりし、著名教育家漫画家声优,演员,歌手,脚本家,演出家,作曲家,钢琴家,指挥家,音艺监督,录音监督,监督,自然科学家,日舞家,小说家,文艺理论家,魔术师,优秀的教师(培养了许多这些领域的学生),校长,甘冒生命危险保护控诉侵华日军罪恶的他的同胞的高尚,坚强,伟大的人游戏设计者 料理大师,文艺评论家,剑道大师,围棋大师http://www.longcore.com/bbs/uploadFace/1250_200310915242187715.jpg
所以最喜欢的日本人是三ツ矢 雄二先生
某林女侠,福州人,酷爱李氏剑法,好打抱不平……
最喜欢的角色:DANDY,海雅,玫瑰骑士(就是马古)
最喜欢中国的配音演员(不包括台湾),尤其是林田许三位。(极其优秀的多才多艺的三人,林比三先生更加杰出)
最喜欢的日本声优:三ツ矢 雄二,堀江美都子,堀川Ryo(堀川りょう)水岛裕(允),盐泽兼人
最喜欢听三先生唱又一次,,ONLY YOU与十七岁三首,堀江的花嫁与SHINE ON(冥王CD主题曲,圣斗士最好听的歌,另外圣的漂亮小孩,女神摇篮曲与经常出现的无声歌都是她唱的),水岛的银河一人
报道:三先生的新泻(WHEN HE IS 12)与英文(著名教材)2教材提供中!马古22年与林公子16年追悼会召集
最喜欢的文章;论ABC(在美国出生的中国人)对祖国的贡献
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只看该作者 3楼 发表于: 2004-07-09
挖到宝了哦哈哈哈哈~~
楼主大人,同是FUJIMI的FAN吧^_______________^
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只看该作者 4楼 发表于: 2004-07-09
刷了下,看的头有点晕,音乐术语实在很多

PC伤害性记录:
5月7日,硬盘浮云,一切重新来过。
10月13日 CPU兼主板牺牲纪念日,那闪光的3秒钟......

どんなに悲しくったって(硬盘米空间⊙⊙||)
どんなに傷ついたって (C盘出坏道T_T)
信じることが一番大切なんだ (仍坚持挂在MX努力 p>_
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只看该作者 5楼 发表于: 2004-07-09
(〒_〒)ウウウ 偶讨厌片假名嫌弃片假名。。这两天会把剩下的完成的。。
男の闘い这篇满好看。。。就是好长啊>_<
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親愛なる守村悠季兄へ       桐ノ院圭
『君には見せない手紙』より

  僕は運命論者ではなく、むしろ、生まれつき背負わされている運命などというものがあるなら、否定し抵抗し打ち破っていくのが自 分の生き方だと思っていた。
  そんな僕が、きみとの出会いに『運命』を感じ、しかも小躍りする思いでそれを信じ受け入れたと言ったら、きみは笑うでしょうか。
  自分につごうのいい偶然は運命と呼んで信奉し、そうでないものは、「不運」などという言い方でちゃっかり否定して、不満と満足の収支バランスをはかっていく。
  そうした適当さと欺瞞性を属性としていた、僕の『運命』という 言葉に対するイメージは、きみとの出会いを運命と感じた瞬間に崩壊し、あらたな意味を持って僕の胸の中に根を張った。
  すなわち僕は、僕にきみとの出会いという偶然を与えてくれた形面上的な作用を『運命』と名付けることで、それまではその感触を推測するしかできなかった「ロマン]ないし「ロマンチックな情感」というものを、しみじみと実感し味わえるようになったのです。
  きみは僕に、生まれて初めての本当の恋を……恋い焦がれるという感情を経験させてくれた。それは、とてつもなく激しくて先行きの読めない心理的な嵐とでもいうようなもので、それまでの僕が思っていた僕という人間についての定説を、すべて打ち砕いた。
  きみに出会うまで僕は、僕という男が、じつはおそろしく嫉妬深い独占欲のかたまりで、洞察力などは皆無、自分のものさしで他人を測る高慢で愚劣な人間だということを知らなかった。僕を理解で僕を理解できないなら、わかってもらわなくてけっこうなどと思っていたのは、それまでは理解されたいという胸を灼くような希求を知らなかったゆえの、あさはかな気取りだったと知った。
僕は君への恋情と自分への絶望感との板ばさみに苦しみながら、僕には君の愛が必要なのを痛感した。君に愛されない限り、僕は二度と自分を愛せないと思った。
君は言うでしょうか。平凡なバイオリン弾きにしか過ぎない自分に、君にような天才がなぜそこまで惚れ込むんだ、と。
僕にも明確な答えはない。ただ、君と言う人を知れば知るほど愛しさがつのって、今では君なしに生きることなど考えられない自分を知っているだけだ。
それが恋であり、愛というものでしょう?
理屈や言葉では捕らえられない、しかし確実に存在する感情というものの不思議さとパワーを、僕は、君と出会うことで想い知りました。
「君はまだ恋を知らないね。それでは人の心を揺さぶる演奏は作れないよ。」
そうヘルベルトに言われた時、僕は「恋なら知っています」と反論した。ヘルベルトは苦笑しただけで、僕は大いなる不満を感じた。
でも今は、あの苦笑の意味がよくわかります。
人間に音楽という芸術を作り出させた、言うなれば音楽の真髓にあたる『感情』という存在について、僕は君との出会いによって開眼し、手に入れた。
それまでは理屈や思考という電池で動くピノキオに過ぎなかった僕を、人間にしてくれたにが、きみです。
ありがとう、悠季。愛しています。
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04.07.09
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只看该作者 6楼 发表于: 2004-07-19
啊~~啊~~~啊~~~~
这几天到处找富士见的小说,可找到的都断断续续的,看得我是意犹未尽咬牙切齿啊~~~
哪位大人有中文版的富士见系列啊,我看过的就第一部还比较全,第二部和第三部都缺节,尤其是第三部,才有6、8、9节,中间漏了好多哦,我都快哭了, 可怎么找都找不到啊,55555555555~~~~
有没有大人有完整点的啊,哪怕就一点点也好,55555~~~

我的邮箱是:micofly@263.net,好心的大人帮帮忙啊~~

或者告诉我怎么能找到也可以,快发疯了,为富士见~

……
誰よりも遠くに行っても
ここからまだ笑ってくれる
……
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只看该作者 7楼 发表于: 2004-07-19
可以问一下这是富士见的哪一个外传吗?中文翻译是什么?
还是说只是有DRAMA的?多谢~

我现在手里的富士见乱的很......
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只看该作者 8楼 发表于: 2004-07-19
楼上的大人,能不能恳请您把手里“乱乱”的富士见打个包发到我邮箱里啊
乱我是不介意的啦,我会好好整理的
好不好?~~~好不好啊?~~

……
誰よりも遠くに行っても
ここからまだ笑ってくれる
……
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只看该作者 9楼 发表于: 2004-07-27
啊,晕倒了~~日语完全不懂啊~~等翻译,等翻译~~~
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只看该作者 10楼 发表于: 2004-08-25
晕啊~~~~~~
楼主大人真是坏心眼!!
偏偏贴出这么个全日文版的,这不是让咱们看得到吃不到吗?
好残忍!!恶魔!!呜呜~~~



这就是我最近的人生写照……郁闷啊……
替朋友求电影《阴阳师》中文字幕的花絮~~飘过~~~
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