角川、リクルート子会社を80億円で買収
角川グループホールディングス(角川GHD)は12日、リクルート子会社で雑誌「ダ・ヴィンチ」や人気アニメ関連商品、漫画出版などを手掛けるメディアファクトリー(MF、東京・渋谷)を買収することでリクルートと合意した。買収額は80億円。角川GHDは買収で出版や映像配信など複合的なコンテンツ戦略を加速する。
リクルートは11月15日付でMFの発行済み株式すべてを売却する。角川GHDは168人いる従業員を全員引き継ぎ、社名も維持。MFの芳原世幸社長は留任する。
MFはリクルートの全額出資子会社で、資本金は1億円。1986年に書籍出版部門を分離して設立した(当時の社名はリクルート出版)。2011年3月期の売上高は約189億円。娯楽系の書籍出版やアニメ・映像販売を得意とする。「ダ・ヴィンチ」のほか、ライトノベルと呼ぶ若者向け小説や漫画、人気アニメ「ポケットモンスター」の映像ソフトやゲームカード販売が主軸だ。
角川GHDはMFを傘下に置き、エンターテインメント分野を強化する。電子書籍販売サイトを運営し、傘下の出版社が持つ電子書籍や電子コミックなどのコンテンツ販売にも力を入れている。
一方、リクルートは本業の人材派遣の伸び悩みに伴い成長の柱を早期に育てるため、事業の選択と集中を検討してきた。住宅情報誌や求人誌など、伝統的な情報誌の出版部門は本体に残す。MF売却で受け取る資金は成長投資に回す。ネット関連の情報サービスや海外での人材事業の買収などの資金とし、事業再構築を急ぐ。