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[原创]星界の戦旗 Ⅳ 軋む時空 序章

楼层直达
级别: 新手上路
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2005-02-03
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0小时
发帖:
105
  星界の戦旗 Ⅳ 軋む時空


       目次

 序章

 01 ケマル門沖の戦い
 02 戦列艦<カイソーフ>
 03 誘惑
 04 堅陣
 05 勅封命令
 06 湖畔にて
 07 静かな氾濫
 08 鋭き矢
 09 マイラルの雪
 10 軋む時空
  
   あとがき



揺籃から墓場まで同じ地面の上を歩いていく
 幸福な人生の喩え。▽生涯を同じ惑星で過ごすことが良い人生の必要条件である
 という考えから。

親の葬式に人事官が来る
 不幸が重なることの喩え。▽人事官が個人宅を訪れるのは、移民に選抜されたこ
 とを通知するときぐらいであることから。

青い鬘を被っている
 惑星表面より宇宙船や軌道施設などで暮らすことを好む者を罵っていう言葉。転
 じて、宇宙で生活することの多い連邦職員への反感を表明する際にも使われる。
 また、精神に異常を来たしていることの喩え。▽星間種族であるアーヴの髪が青
 いことから。

                  ミンツィン社刊「ハニアことわざ辞典」より



                 序章


 わたしは幾度、葬儀に出たのであろう。そして、これからどれだけの葬儀に出なけれ
ばならないのだろう――<アーヴによる人類帝国>(フリューバル・グレール・ゴル・
パーリ)第二七代皇 帝(スピュネージュ)、アブリアル・ネイ=ドゥプレスク・アブ
リアル(ドリュー・アブリアルサル)伯爵・ラマージュは思った。

 ラマージュの乗る、星界軍総旗艦(グラーガ・グラーガル)にして皇帝御座艦(ルエ
・リュール)<ガフトノーシュ>は帝都(アローシュ)ラクフアカールのなかを帝国葬
祭殿(ルエ・イベイ)へむけてごく低速度で滑っていた。

 かつていくつか存在した帝国ではいざ知らず、この<アーヴによる人類帝国>(フリ
ューバル・グレール・ゴル・パーリ)では皇帝御座艦といえども実戦に赴くことを前提
としている。したがって、皇帝御座艦には常に最新鋭の巡察艦(レスイー)をあてるこ
とが伝統だった。すなわち、いまはカウ級巡察艦である。艦隊旗艦仕様のカウ級巡察艦
の司 令 座(グラハレリバーシュ)に翡翠の玉座(スクムソール・レン)を据えたも
の――それが<ガフトノーシュ>に他ならない

 艦内における皇 帝(スピュネージュ)の居室に司令長官室(シル・グラハレル)が
当てられていた。ほかの軍ではともかく、すくなくとも帝国星界軍においては戦場で
軍士が期待できるもののうちもっとも広く豪華な空間である。皇帝の居室は目立たない
がさらに入念な装飾がなされていた。

 とはいえ、いまや一兆人近い臣民を支配するに至った大帝国に君臨する身が憩う場所
であることを考えると、うら寂しいほどに質素だった。

 だがラマージュはその部屋を理想郷のように感じていた。皇 帝(スピュネージュ)
というのは激務なのだ。とくに戦時には。独りでいられる時間と空間は貴重である。急
報に邪魔されることがなければさらに良いのだが、さすがにそこまで望むのは贅沢に過
ぎた。

 床の微かな振動が接舷を告げる。

 ラマージュは青みがかった玉杯をおき、立ちあがった。
 
 扉が開くと、そこには移動壇(ヤーズリア)と侍 従(ベイケブリア)たちが待ちか
まえていた。

 「陛下」(エルミトン)侍 従 長(ワス・ベイケブレル)が恭しく頭をさげた。

 ラマージュは頷きで彼らの敬意に報いて、移動壇にあがった。

 皇帝は理想郷をあとにする。
 
 壁に草原の描かれた廊下を移動壇は滑っていった。1000ダンージュおきに立って
いる儀仗従士(サーシュ・イダル)が銃を捧げて皇帝に敬意を表する。

 移動壇に乗っているあいだもラマージュは考えていた――いまも平面宇宙(ソアーズ
)のどこかで葬儀が行なわれているかもしれない。葬祭殿を使わない葬儀が。

 それがどんなに古かろうと、星界軍(ラブール)の艦艇は軍士(ボスナル)にとって
最高の柩だ。他人と共有せねばならないのが玉に瑕だと思うのものもいるが、それは少
数派である。たいていのものは家族と柩をともにするのをむしろ慶びと考えている。

 同じ船に乗り合わせた者は家族であるということに異議を唱える者はいないだろう。
大仰な契りの儀式などはしないが、船に乗ったとき、人は生死をともにする家族となる。
とくに戦争の時代では。 

 そして、いまは戦争の時代だった。

 いまも平面宇宙(ソアーズ)を敵味方の艦艇が駆けめぐり、潰しあっている。無数の
死の儀式が盛大に執り行なわれているのだ。

 ともあれ、ここは、星たちの眷族(カルサール・グリューラク)の都、ラクファカー
ルに数多く浮かぶ葬祭殿のひとつ、それも帝国最大の葬祭殿だった。帝国葬祭殿を使う
ことができるのは皇 族(フアサンゼール)ととくに勅許を受けたものだけだった。

 アーヴは宗教を信じないが、彼らの人生の折々には何かしら宗教的なものを感じさせ
る行事がある。葬儀はその最たるものだ。

 敬虔な地上の民のほうがよほど簡素に葬儀を済ませるだろう。

 もっとも、真に宗教的かといえば、そうでもない。アーヴの弔いに神などという余所
者が介在する余地はない。それは故人を知る者たちだけの別れの儀式である。

 やがて移動壇(ヤーズリア)は<ガフトノーシュ>の閘門を抜け、葬祭殿に進入した。

 葬祭殿の主廊下は星々の絵で彩られていた。アーヴは室内装飾の主題に地上の自然物
を偏愛するが、死者のためには星々こそが相応しいと考える。

 開放された扉の傍らに数人が立っていた。ラマージュの姿を認めて、最敬礼をする。
 
 そのなかから青褐色の髪をした翔士(ロダイル)が進み出た。階級章は準提督<ロイ
・フローデ>の身分にあることを示している。シドリュア・ボルジュ=シド・セール、
すなわち今日の葬主である。

 「わざわざのお越し、光栄に存じます、陛下(エルミトン)」シドリュアはラマージ
ュを迎えた。

 「このたびはまことに残念なことであった」ラマージュは悔やみの言葉をかけ、「わ
が股肱の葬儀とあれば、欠席するわけもなるまい」

 「それをきけば、父も喜ぶでしょう」

 「それはどうかな?」ラマージュは微笑み、移動壇から降りた。

 シドリュアの父はシドリュア・ボルジュ=シド・シーズ。ごく最近まで帝国宰相(ル
エ・ボーシフ)を務めていた男である。

 故人は息抜きという概念をあまり重視せず、益体もない時間を過ごすことを許さない
傾向があった。たとえ相手が皇 帝(スピュネージュ)であろうとも。

 冷酷であるべきアーヴ皇 帝(スピュネージュ)が死んだものの追憶に時間を費やす
といえば、あの男は必ず時間の浪費を見做すであろう――ラマージュは確信していた。

 だが、彼も花壇を丹精する誘惑にだけはときどき勝てなかったことを、皇 帝(スピ
ュネージュ)は知っていた。

 会場は円形である。その中央に前宰相(ボーシフ・レカ)の柩がある。

 ラマージュは床を蹴った。

 重力制御はなされていない。

 アーヴらしい身のこなしで、柩の傍まで跳んでいく。

 柩は透明な円筒で、生前と変わらぬ姿の前宰相を包んでいる。

 ラマージュは無言で別れを告げ、その場を次の参列者に譲った。

 この場では、皇帝といえどもとくに敬意を表されることはない。葬祭の主役は死者そ
のものでなければならなかった。 

 自らの席を定めると、ラマージュは床の突起に爪先をかけ、身体が浮き上がるのを防
いだ。

 そこへひとりの地上人が飛行具(スリュール)をおっかなびっくり使い、近づいてき
た。

 会場に地上人の姿は珍しくない。前宰相自身が地上世界出身者だったし、彼の部下で
ある官僚たちにも青髪の遺伝子を持たぬ者は少なくないからだ。

 だが、彼は帝国人ですらなかった。ハニア連邦大使のティンクイハンである。

 「陛下」(エルミトン)地上人にしては上出来な動きで、彼はラマージュの隣に身を
落ちつけようとした。

 だが、武装侍従(ナーケプリア)がさりげなく身体を入れて、それを阻止した。その
手はしっかりと凝集光銃(クラーニュ)の銃把を握っている。

 「わが臣下のために足をお運びいただいて、感謝する。大使どの」ラマージュは素っ
気なく礼をいった。

 「いえ、わたくしにとってもシドリュア閣下は畏友でございました」大使の声には深
い哀しみが充ち満ちていた。もしも演技だとしたら、たいしたものである。「その葬儀
に赴くのに誰に感謝される謂れもございません」

 「そうか。ならば感謝の代わりにお悔やみを」

 「恐れ入ります」ティンは深々と頭を下げ、そのせいで均衡を崩しかけた。「それで
、まことに恐縮ですが、陛下(エルミトン)、あとで少しお時間を割いていただくわけ
にはいかないでしょうか」
  
 どうやらこれが本題らしい。亡き友の思い出を語り合いたいなら、もっと相応しい相
手がいるだろう。

 「このような席だ」ラマージュは冷たく言った。「ご遠慮いただければ、幸い、これ
に過ぎろ事はない」

 「無礼は承知のういで、ご寛恕を賜りたい。両国の平和のためでございます」ティン
は食いさがった。

 「そのような話は宰相(ボーシフ)となされよ」前宰相の死は急なことではあったが、
新宰相の任命は滞りなく行われている。使 節 庁 長 官(ワロズ・ゲーカル・スコ
アフアリメール)のブラーシュが昇任したのだ。

 前任者に比べれば経験が少ないものの、充分に有能であると確信していた。なにより、
使節庁(ゲーク・スコフアリメール)といえば外交を司る官衙であり、いまや唯一の通
交国となった<ハニア連邦>のことは熟知しているはずだった。

 「まことに残念ながら、宰相(ボーシフ)閣下は小官の言葉になかなか耳を傾けてく
ださいません」

 「そうか?宰相(ボーシフ)はそなたのためにずいぶん時間をとっている、と奏上を
受けたぞ」

 「時間だけはお与えくださいますが」とティンは不満げにいった。

 「ではございますが、、、、、、」

 「皇 帝(スピュネージュ)といえども」ラマージュはいいきかせた。「臣下の職分
を侵すのは憚られるのだ。察していただければ嬉しい」

 「察したうえで、お願い申し上げます」

 そろそろ追い払いますか――武装侍従(ナーケプリア)が目顔で尋ねる。

 それには及ばない、とラマ―ジュは指先の動きでこたえた。それはごく微かで、ティ
ンは気づかなかっただろう。

 「立ち話でよければとくに許そう」

 「ありがたき幸せ」

 「だが、新たな特権を与えられたとはお思いにならぬがよい」

 「承知してございます」ティンは武装侍従(ナーケプリア)をちらっと見て、「それ
では、この席はより相応しいかたにお譲りするとしましょう」

 そうされるがよい、と口にする衝動をラマ―ジュは抑え、「それでは後ほど。葬儀が
終わったあと、わが移動壇(ヤーズリア)で船まで送りする」

 僅かながら沈黙があった.おそらく時間が短すぎるのが不満なのだろう。
 
 大使館は帝宮(ルエベイ)にある.つまりは<ガフトノーシュ>でともに帰ってもい
い.そうすれば、充分な会談の時間が設定できるだろう。

 だが、皇 帝(スピュネージュ)はそのような破格の扱いを大使に許すつもりはなか
った。

 ラマ―ジュの推察どおり不満に思ったとしても.ティンはその素振りを見せず、頭を
下げた.「光栄でございます。感謝いたします、陛下(エルミトン)」

 その会話のあいだにも参列者たちが柩に別れを告げている。参列者たちの訪いがよう
やく疎らになったころ、祭場に声が挙がった。

 声といっても、内容のある言葉ではない。それは最初、低いう呻りだった。

 ラマ―ジュも惜別も思いを声に乗せた。

 もう柩の元に跳ぶ人影がたえたころ、それは大きなうねりのようになって会場を包ん
でいた。

 はじめばらばらだったものが、美しい和音にまとまる。

 アーヴの挽歌(バール・キコス)だ。一人のアーヴの最後を美しく締めくくる歌声。
 
 地上世界出身者の中には、故郷の大地に葬む者も多い。だが、シドリュア・ボルジュ
=シド・シーズはアーヴとして人生最後の儀式の主役となることを選び、帝 国(フリ
ュ―バル)もそれに最大限の敬意を持ってこたえた.この葬祭殿を使うというのは、国
葬級の礼遇なのである.たとえ皇 族(フアサンゼール)であろうと、葬儀がここで行
なわれるとは限らないほどだ。

 アーヴの挽歌の響くなかで、黒く光る円筒が降りてきて透明な柩を覆う.これから数億
年、前宰相(ボーシフ・レカ)の遺体を守ることを期待されている外殻だ。

 すっかり覆い尽くされると、外殻をまとった柩はせりあがっていく。電磁投射砲(イ
ルギュ―フ)に装填されようとしているのだ。

 アーヴの挽歌の音量も上がっていく。
 
 柩が装填され、砲尾が閉鎖された。

 次の瞬間、葬祭殿は柩を銀河中心方面へ発射した。

 その加速が葬祭殿の大質量によって除され、心地良い擬似重力を生んだ。

 その擬似重力に引かれて、全員の踵がいっせいに床に着く。

 それを合図に、歌声は鎮まった。

 葬儀の終わりだ。

 ラマ―ジュは閉鎖された砲尾をしばらく眺めた。

 あと何度、この光景を見なければならないのだろう。

 そして、床を蹴り、<ハニア連邦>大使の待つ出口へむかって跳躍した。


え~と、以上はこの冬休み日本語入力を練習する際にできたもので、後の部分を期待しないでくれ
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只看该作者 1楼 发表于: 2006-02-22
幻炎28舰队的进来瞄一下~~~
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