要求真高,笑。虽然是熟悉的不得了的段落,但从来没写下来过呢。
刚才中间休息抓空听的,至于翻译,得我回家整理了。
【葵 】いらっしゃい。思っていたより遅かったですね。
【素子】よく言うわよ。招待状もよこさないくせに。
【葵 】貴方がじっとしていれば、人は貴方に会いに来るだろう。
【素子】ドアノの言葉だったかしら。
【葵 】Yes。
【素子】まあ、あなたの処遇をどうするべきか、考えあぐねてたっての回るんだけど。
【葵 】僕はまた、あなたがあのまま死んじゃうつもりなのかなって、ちょっと心配しちゃいましたよ。
【素子】まだそれほど死に期待はしてないわ。完全リモート状態の義体電脳が破壊された時の衝撃で、充分臨死体験はできたけど。
【葵 】で、新品の義体を壊しちゃって、今だに義体換装をしていない。
【素子】目敏よね。
【葵 】覗きが趣味ですから。
【素子】それにしても、なに?ここ。まるで情報の墓場じゃない。こんなところから世界を変えようなんて、本気で考えてたの?
【葵 】まあ、はじめは幾分。
【素子】で、今の気分はどう?
【葵 】特別な考えは湧いてきませんでした。実は僕の中では、あなたと記憶を共有した時点で、すべてが終わってしまったのかもしれません。後は、あなたがうまくやってくれるだろう、って。
【素子】まったく、たいした嘘つきよね。何が邪魔しないでくれよ。
【葵 】すいません。でもすべての情報は、共有し並列化した時点で、単一性を喪失し、動機無き他者の無意識に、あるいは、動機ある他者の意識に内包される。
【素子】それは経験から導き出されたあなたの言葉?
【葵 】Yes。事実最後は、あなたまで笑い男を演じていましたからね。
【素子】確かにあれは面白い現象だった。それにしても、これらの事件を引き起こした最初の動機は何だったの?
【葵 】あなたは世界中で起こる何もかもが、インチキに見えてるんでしょうね。
【素子】J·D·サリンジャ
【葵 】Yes。でもまあ、僕自身、電脳化の権化みたいな人間だから、少なからず、電脳硬化症に対する恐怖みたいなものがあったのかもしれないけど。あれは、僕がたまたまネット上で見つけた、一編のメールがきっかけだったんです。おそらく、セラノゲノミクスの宛で送れられたであろう、その脅迫メールは。瀬良野製マイクロマシンの無効性と、村井ワクチンの効能とを比較検討した論文で武装されていた。
【素子】それを書いた者が笑い男のオリジナル?
【葵 】強いて言えば、ですなぁ。私は、私が見える世界を皆に見せるための機械だ。
【素子】ジュガ·ベルトフ、映画監督だったかしら。
【葵 】Yes。僕は、僕だけが偶々知り得た情報の確認と伝播を、自身の使命を錯覚し奔走した。
【素子】で、見事に玉砕。無垢な媒介者は、社会システムの醜悪さに落胆し口を噤んだ。
【葵 】Yes。そして僕は、消滅する媒介者となった。恰も新作を発表しないことで、その存在を誇張されてしまう作家のように。つまり、それは、消滅することによって社会システムの動態を規定する媒体であり、最終的にはシステムの内側にも外側にもその存在の痕跡を留めない。
【素子】フレデリック·ジェームソン
【葵 】Yes。でもNo、後者は大澤真幸。言葉では知っていても、実際に目の当たりにするまでは信じられなかった。オリジナルの不在がオリジナル無きコピーを作り出してしまうなんてね。あなただったらあの現象を何て名づけますか?
【素子】Stand Alone Complex
【葵 】Yes。 Stand Alone Complex。元来、今の社会システムにはそういった現象を引き起こす装置が始めから内包されているんだ。僕にはそれが絶望の始まりに感じられてならないけど、あなたはどう?
【素子】さあ、なんとも言えないわね。だけど私は、情報の並列化の果てに「個」を取り戻すための一つの可能性を見つけたわ。
【葵 】ちなみに、その答えは?
【素子】好奇心、たぶんね。
【葵 】なるほど。それには、僕も気づかなかったなぁ。僕の脳みそはすでに硬化し始めてる。で、これから僕はどうなるんですか?誘拐罪で逮捕?それとも、同時多発テロ教唆の罪かな?
【素子】さあ、その件に関しては、彼に一任してあるから、直接聞いてみたら?