歴史的仮名遣いとは、古文での仮名遣いのことです。今の現代仮名遣いとは少々違うところがあるので、古文の勉強をはじめるときには、古文の意味が分からなくても、とりあえず読めるようになりましょう。
1.50音図
ア、ヤ、ワが注意すべきことです。
ア段 イ段 ウ段 エ段 オ段
ア行 あ い う え お
ヤ行 や い ゆ え よ
ワ行 わ ゐ う ゑ を
つまり、「わ・い・う・え・を」を、昔は「わ・ゐ・う・ゑ・を」と書きました。読み方は同じで、「ゐ」は「い」と読み、「ゑ」は「え」と読みます。
例えば、「ゐぐさ」を現代仮名遣いに変えると「いぐさ」となり、「こゑ」を現代仮名遣いに変えると「こえ」となります。
2.を→お
「を」を「お」に変える。
今では「を」が単語の最初に来るのは見たことはありませんけれども、昔はそれは珍しいことではなかった。
代表的なものは清少納言の「枕草子」から出た「をかし」のことかな。
「おかし」の辞典から現代語訳が「趣がある」、といわれても、「趣がある」が一体どういう意味のですか。^_^
3.ぢ→じ づ→ず
読み方が同じ*、ただ「ぢ」と「づ」、これらを現代仮名遣いに書き直すとそれぞれ「じ」、「ず」となります。
例えば「はぢ」を現代仮名遣いに変えると「はじ」となり、「しづ」を現代仮名遣いに変えると「しず」となります。
*実はそうではない、江戸時代入る前に、「ぢ」と「じ」、「づ」と「ず」は別々の音を表していた。
4.くゎ→か ぐゎ→が
「くゎ」は「か」と、「ぐゎ」は「が」と読みます。~~特に説明の必要のあるところはない。
5.む→ん
「む」を「ん」に変えることもある。
例えば「かむなづき」は「かんなづき」と書き直すこと。
現代の「ん」は昔の「む」の音便化したものです。
6.語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」は「わ・い・う・え・お」となる。
例えば:
かはづ→かわず おもひ→おもい ひたひ→ひたい いふ→いう にほひ→におい
少々難しそうに見えますよ。
7.「ア段の音+う」→「オ段+う」
「イ段の音+う」→「イ段+ゅう」
「エ段の音+う」→「イ段+ょう」
これは歴史的仮名遣いの中で一番難しいことと思います。それでは、次々と説明して見ます。
「ア段の音+う」→「オ段+う」
つまり、XauはXouとなる。 ^_^
例えば、「かうべ」→「こうべ」
「イ段の音+う」→「イ段+ゅう」
つまり、XiuはXyuuとなる。
例えば、「ひさしう」→「ひさしゅう」
「エ段の音+う」→「イ段+ょう」
つまり、XeuはXiyouとなる。
例えば、「てうづ」→「ちょうず」
~まとめ~「ゐ→い」
「ゑ→え」
「を→お」
「ぢ→じ」
「づ→ず」
「くわ→か」
「ぐわ→が」
「む→ん」
語頭以外のハ行→ワ行
「ア段の音+う(ふ)」→「オ段+う」
「イ段の音+う(ふ)」→「イ段+ゅう」
「エ段の音+う(ふ)」→「イ段+ょう」
さあ、いよいよ練習の時間です。次の文章を読んで、太字のところの歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに変えて見ましょう。
春は、あけぼの。
やうやう白くなりゆく、
山ぎは少し明りて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
夏は、夜。月のころはさらなり、闇も
なほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、
をかし。
秋は、夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐ
さへ あはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音(ね)など、はた
いふべきにあらず。
冬は、つとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。
(枕草子・春は曙)
解説:以下内容可能涉及剧透,请选择性的观看:
やうやう→ようよう
山ぎは→山ぎわ
なほ→なお
をかし→おかし
さへ→さえ
あはれ→あわれ
いふ→いう→ゆう