お兄さんこと国宝ケンイチは、生まれてまもなく、山の中で家族と離れ離れになってしまった。この時、彼にひとりの妹(雪絵)がいたが、幼いケンイチが知る由もない。
今、ひとつの兄弟の運命が二つに分かれたのであった。
ケンイチは山の爺ちゃん、玄米茶に、やはりケンイチ同様、爺ちゃんがどこからか拾って(?)きた少女かえでとともに育てられ、スクスクと育っていった。
爺ちゃんは一見アホ面をしているが、ムチャクチャ強い空手家だった。ケンイチの目標は、この爺ちゃんを超え、世界一強い男になることなのだ。
ある日、ケンイチは爺ちゃんから是羽市是羽町に住む国宝憲吉の息子だと聞かされる。(実は、彼を拾ったときに服に住所氏名が書いてあった。)怒った賢一は、爺ちゃんをはり倒し、かえでに別れを告げて、本当の家族を探しに、彼の親友のフリッパーとともに、住みなれた山を降りていくのだった。
15歳にして初めてみる文明!
ケンイチは次々と騒動を巻き起こすのである。信号も自動車もわからず、交叉点で車四台を破壊したり、揚げ句の果てに機動隊との大乱闘! ケンイチのあまりの強さに歯がたたない機動隊は、麻酔銃は使うは、トレーラーで引きつぶすは、必死の攻撃で、ついにケンイチを捕らえるのだった。病院に収容されたケンイチは、13年前に別れた妹、雪絵と再会する。かくして、何を考えているかわからないが体だけは丈夫な運命の少年、国宝ケンイチの都会生活が始まったのである!!
国宝ケンイチ(卡内奇)
物語の主人公。13年間山奥で育てられた超自然児。空手の達人で、世界一強い男になろうとしている。その肉体は強靭で、ペシャンコになっても即再生するという異常体質だ。正義心と、妹への愛情は人並み以上。人なつっこく、友達の言うことはすぐ信じてしまうようだ。
国宝雪絵(羽佳)
ケンイチの妹。気だての優しい兄思いの子。学園のマドンナ的存在で、明るく頭もいい。死んだ母の代わりに国宝家をきりもりしている。彼女のおかげでハチャメチャなケンイチも生活が成り立っていると言っても過言ではない。
火堂害(西多)
広域暴力団火堂組の組長の息子。たいへんな乱暴者。学校にほとんど来ていなかったので落第を繰り返し、いまでは本当の年齢は誰にもわからない。雪絵を慕っており、彼女に対してはこの上なく弱い。シリーズを通してケンイチの相棒となる人物。
ロッキー羽田(洛奇)
日本人とフィリピン人のハーフ。ひとり暮らしの生活費を必殺仕事人をしてかせいでいる。自由に生きることをモットーにしており、「おれは流れる雲だ」などとまじめに言ってしまう。お兄さんとの決闘にやぶれ、なぜか是羽二中に転入してくる。根は心の優しい、いい奴なのだ。
不知火明(陈大龙)
ケンイチのとなりのクラスだが、やたらと女学生にもてる美男子。スポーツ万能。しかし、お兄さんの桁外れのパワーの前では敵ではなかった。ただひとり、雪絵だけが彼に対して無関心なのが許せない。どこかの大金持ちのお坊ちゃんだといわれている。
綾小路さゆり(百合)
ケンイチや雪絵のクラスメイト。雪絵の親友でもある。いいとこのお嬢様で、わがまま娘。
かえで(兰惠)
山奥でケンイチと一緒に育てられた。言わば義理の妹。とにかく純真な少女で、ケンイチ同様、文明のことは何もわからない。かえでの本当の両親が誰か、拾ってきた爺ちゃんも知らない。のちに、国宝家に居候する。
小山内文子(柯老师)
ケンイチや雪絵のクラスの担任。ケンイチや火堂という問題児をかかえているわりには、緊迫感などなく、わりとミーハーな性格である。